2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒト型結核菌熱水抽出製剤(アンサー)を用いた高齢者肺炎の新たな予防法の確立
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26460900
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大類 孝 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90271923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 晴雄 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20302250)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 虚弱高齢者 / アンサー / 白血球数 / 高齢者肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者における肺炎は難治性かつ易再発性で致死率も高く、その予防法の確立が急務である。結核菌熱水抽出製剤(アンサー)は、ヒト型結核菌青山B株から抽出されたリポアラビノマンナンおよびその他のリポ多糖を主成分とし、現在臨床の現場では放射線療法の白血球減少症に対して造血促進効果が期待され使用されている。これまでの基礎研究で、結核菌熱水抽出製剤には免疫増強効果が確認されており、高齢者肺炎の予防に有効である可能性が示唆される。本研究で我々は、早期の高齢前立腺がん患者を対象として、結核菌熱水抽出製剤投与が肺炎の予防効果を有するか否かの研究を継続中である。 研究実績の概要 結核菌熱水抽出製剤(アンサー)の高齢者肺炎に対する予防効果の有無を確認するため本研究を継続中である。はじめに、平成26度に引き続き、登録患者のカルテ調査を行い、その後の健康状態を把握した。平成27年末の時点で、アンサー投与群15名および非投与群15名のうちそれぞれの群で2名が転院などの理由で調査対象から外れた。残り、アンサー投与群13名(平均年齢 74.2±4.6(標準偏差)歳)および非投与群13名(平均年齢 75.4±4.7歳)が対象となった。調査の結果、平成26年半ばから27年末までの間、アンサー投与群では2名に風邪症候群がまた1名に腸炎が認められ、一方、非投与群では風邪症候群が2名に腸炎が1名に認められたが、いずれも数日間の安静で治癒した。現在までの所、アンサー投与群および非投与群いずれにおいても肺炎など重篤な感染症を認めていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、アンサー投与群および非投与群における治療前後の免疫能の変化として末梢血液中の総白血球数、好中球数、リンパ球数のカウントが終了し、同時に赤血球系の指標としてヘモグロビン値また栄養状態の指標として血清総蛋白濃度の測定が終了した。また、平成26年初めから27年末にかけて、約1年半にわたる両群の健康状態の調査が終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も平成27年度に引き続きカルテ調査を行い、高齢男性アンサー投与群および非投与群の健康状態をさらに長期にわたって把握する。また、今年度末にこれまでのデータをまとめ統計処理を行い、結果を公表する予定である。
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Causes of Carryover |
当初、個々のデータ入力のための人件費を計上していたが、実際は研究者自らデータ入力が可能であり、人件費が節約されたため。また、初年度計上していた投与薬のアンサーが、後ろ向きカルテ調査に変わったため、新たに購入する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は、データ処理ならびに計算のための人件費、および物品購入に充てる予定である。
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