2014 Fiscal Year Research-status Report
天然物成分の腫瘍組織環境制御による抗腫瘍効果とその作用機構
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26460908
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
木村 善行 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20294796)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌 / 植物成分 / 薬理学 / 生理活性 / 生体分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 癌の治療は、標的分子治療薬の開発が進んでいる一方、癌再発や転移が引き起こされ、薬物の効果の減弱性や副作用の増大の問題点があった。新たな抗腫瘍剤として、癌自身の標的薬と共に、腫瘍環境、特にTumor-Associated Macrophage(TAM)中のM2型Macrophageの活性化や分化に対する制御化合物の探索・開発が必要である。本研究では、伝統薬物から有効成分の探索、その抗腫瘍・抗転移効果およびM2型Macrophage関与の作用機構を明らかにする。 【研究概要】 1) ヒト単球細胞株(THP-1)をPhorbol Myristate Acetate (PMA)で処理し、M0型Macrophageに分化し、更にIL-4およびIL-13刺激下M2型Macrophge分化過程におけるIL-10, MCP-1およびTGF-beta産生やStat3蛋白質の発現やリン酸化に対する影響を3種類の Dihydroxycourmarin(Esculetin, Fraxetin, Daphnetin)類を検討した。その結果、EsculetinにIL-10, MCP-1およびTGF-beta産生を強く阻害し、更にM2型macrophage分化にかかわるStat3のリン酸化を抑制した (In Viro)。 2) 以上のIn Vitro実験に基いて、高転移腫瘍細胞LM8をマウス背部に移植し、上記の3種類のHydroxycoumarin類の抗腫瘍・抗転移効果を検討した。その結果、Esculetinに強い抗腫瘍・抗転移効果が認められ、M2型Macrophageの活性化や分化阻害によることが示唆された。さらに、伝統薬物から単離した他の化合物を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.研究期間は、平成26年度~平成28年度で、平成26年度において、伝統薬物から単離した30数種類の化合物から、簡単な構造を有するDihydroxycourmarinに着目し、 M2型Macrophageの分化を阻害し、その作用機構がStat3のリン酸化阻害による事を明らかにし、M2型Macrophageの活性化を阻害し、In vivo実験においても、抗腫瘍・抗転移効果を明らかにした。
2.その成果は、2015年発行のEuropean Journal of Pharmacologyに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
1.Dihydroxycourmarin以外の伝統薬物から単離した化合物のM2型Macrophageの活性化や分化に及ぼす影響を検討し、更に、In Vivo実験で抗腫瘍・抗転移効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
伝統薬物からの活性成分の単離に要する費用が不要になり、手元にある天然化合物で探索研究が出来たことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、新たに、M2型Macrophage関与するリンパ管新生等の関与を加えて検討する予定である。
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Research Products
(1 results)