2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜機能と骨血管相関からみた高血圧ならびに肥満関連生活習慣病の病態生理
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26460926
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Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
津田 和志 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (90217315)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高血圧 / メタボリックシンドローム / 細胞膜fluidity / resistin / 酸化ストレス / cytokine |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、細胞膜の物理的性質の検討として、電子スピン共鳴ならびにスピンラベル法を用いて高血圧患者の細胞膜fluidityを測定し、その調節を各種血管内分泌因子との関連から考察した。高血圧患者の赤血球膜fluidityは正常血圧者に比し有意に低下していた。また、酸化ストレスの指標のひとつである血中8-iso-prostaglandin F2alpha 値は高血圧群で正常血圧群に比し有意に高値であり、赤血球膜fluidityの悪化やNO代謝産物の低下と有意に相関した。この成績は酸化ストレスが高血圧の膜機能調節に重要な役割を果たす可能性を示唆するものと考えられる。次にcytokineのひとつであるresistinやendostatinの血中濃度を測定した。血中resistin濃度は高血圧群で正常血圧群に比し有意に高値であった。また血中resistin濃度の増加しているほど赤血球膜fluidityは悪化していた。さらに血中resistin濃度は血中8-iso-prostaglandin F2alpha値と有意に正相関した。このことはresistinが一部酸化ストレスを介して膜fluidityを低下させることを示すものと考えられる。現在、血中endostatinについても同様の検討を行っている。以上から、肥満に関連した血管内分泌因子が高血圧の細胞膜機能に重要な影響を及ぼし、それらの調和破綻がメタボリックシンドロームの心血管病の成因に一部関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、高血圧患者の赤血球膜fluidityは正常血圧者に比し有意に低下していることが明らかとなった。さらに酸化ストレスの指標のひとつである血中8-iso-prostaglandin F2alpha値や血中resistin濃度は高血圧群で正常血圧群に比し有意に高値であり、赤血球膜fluidityの悪化と有意に相関することが認められた。この成績は酸化ストレスやcytokineが高血圧の膜機能調節に重要な役割を果たす可能性を示唆するものと考えられ、当初の計画に沿った研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においても、細胞膜の物理的性質の検討として電子スピン共鳴ならびにスピンラベル法を用いて高血圧やメタボリックシンドローム患者の細胞膜fluidity を測定し、その調節機序を各種血管内分泌因子との関連から考察を加えてゆく。特に血管内皮機能、酸化ストレス、cytokine、endostatinが高血圧の膜機能調節にどのような役割を果たすか詳細に検討を重ねてゆく予定である。
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