2014 Fiscal Year Research-status Report
胃食道接合部癌の幹細胞の同定と応用による治療法の開発
Project/Area Number |
26460934
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 喜裕 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10529192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 伸三 東京大学, 医学部附属病院, その他 (30723746)
山田 篤生 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80534932)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌 / 幹細胞 / 分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では胃食道接合部癌の幹細胞の同定と治療法の開発を目標としている。 H26年度は、K19-cre; KrasG12D; TGFbR2 f/fマウスにタモキシフェンを投与し、経時的に胃食道接合部の組織を免疫染色と遺伝子発現解析を行った。 腫瘍部ではKi67, PCNAの細胞増殖マーカー蛋白が高発現していた。また細胞形質マーカーでは扁平上皮のマーカーであるKRT1, KRT14の高発現に加えて腺上皮の形質マーカーとして用いられるKRT7, KRT8の発現がみられた。また遺伝子発現変化でも同様の変化がみられ、さらに幹細胞のマーカーとして知られるSOX2, SOX9, CD44などの分子の発現が著明に増加しており、本モデルの接合部癌が扁平上皮と腺上皮の形質、また幹細胞の形質を有することが示唆された。またこれらの接合部癌から二種類の癌細胞株の樹立に成功した。今後オルガノイドが作成できるか三次元培養を試み、種々のシグナル刺激により分化誘導が可能であるか検討する。 接合部癌幹細胞の同定のためにRosa-EYFPおよびRosa-LacZ遺伝子を導入し、腫瘍細胞の系譜追跡を行った。腫瘍細胞はEYFPおよびb-galactosidase染色を行い、弱いながらもほぼすべての細胞がK19陽性細胞から発生していることが示された。 また癌悪性化に関与する遺伝子異常の解析目的で、K19-cre; KrasG12D; TGFbR2 f/fマウスにe-cadherinのコンディショナルノックアウトマウスの交配を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの系統樹立、維持が順調であり、計画通りにマウス発癌モデルを用いた癌発生の検討がすすんでいる。タモキシフェン投与による発癌も技術的に問題なく、解析できる発生率が得られている。免疫染色による表現系、細胞形態の解析はほぼ完了している。 また癌の起源細胞の同定は、レポーター遺伝子の樹立と解析がはじまったところであるが、レポーターがうまく働いているのは確認できており、タモキシフェン投与からの期間を短く設定して、発生の起源に迫ることは可能と考えている。 オルガノイドを用いた分化誘導法の検討は現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在樹立したレポーターマウスの解析によって、より早い段階での癌細胞の動態を明らかにする。タモキシフェン投与後1-3週の組織の染色、免疫染色などを行う予定である。 また癌細胞株については、三次元培養法を確立し、薬剤投与による分化度の変化についてmRNAなどの発現変化を検討する。 またK19-cre; KrasG12D; TGFbR2 f/f; CDH1 f/fマウスを樹立中であり、接合部癌の悪性化におけるe-cadherinの役割を検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)