2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26460936
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 修 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20378053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 秀実 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10215501)
安藤 雄一 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (10360083)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腹膜播種 / 消化器がん / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化器癌の化学療法の進歩は著しく,切除不能症例においても長期生存が期待されるようになってきている.一方でいまだ難治症例は多く存在し,要因の一つは癌の薬剤耐性化である.消化器癌治療に複数の標準的治療の選択肢がある場合に,実用化された有用なバイオマーカーはなく,経験的な治療を行って,有効性や副作用を評価しながら治療選択を行っていくのが現状である.治療経過の間に繰り返し癌細胞を得ることにより,その生物学的変化を評価することが,薬剤耐性化機構の解明と,薬剤感受性マーカーの開発に有効と考えられるが,一般的に繰り返し癌細胞を得ることは侵襲性が高く,現実には困難であることが多い.その点において,腹膜播種の患者では,腹水貯留による腹部膨満などの症状緩和のために腹水穿刺排液を繰り返し行う場合があり,腹水中の癌細胞を採取することは患者にとって治療上の侵襲以外の負担がない.本研究の目的は,消化器がん腹膜播種の患者の腹水から癌細胞を採取することにより,遺伝子解析を行い薬剤耐性機序の解明をめざし,薬剤感受性のバイオマーカーを検索することである. 生命倫理委員会の承認の下,患者に説明を行い同意を得て,消化管癌の症例から腹水を採取した.遠心にてDNA抽出用およびRNA抽出用のペレットを保存するとともに,腹水中の癌細胞から細胞株を樹立した.この細胞株と従来からある細胞株の双方で,オキサリプラチンおよびシスプラチン存在下での培養を行い,薬剤耐性細胞株の作製を行っている.さらに化学療法後の患者腹水からの細胞株の樹立した.治療前後の腹水の遺伝子発現やDNAメチル化の変化,および薬剤耐性細胞株の遺伝子変化を比較することにより,化学療法耐性機序の解明と感受性予測のバイオマーカーを抽出できる可能性が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
消化管がん腹膜播種患者の症例を集積中で,腹水を採取し培養細胞株を確立することが出来た.さらに現在,これらの細胞を用いて薬剤耐性細胞株を作成中で,今後遺伝子解析に使用できる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
症例をさらに集積して,化学療法前後の腹水検体を採取して,遺伝子解析を行うことを予定している.さらに薬剤感受性や耐性化機構と関連の深いと考えられる遺伝子については遺伝子機能解析を行うことを予定している.
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Causes of Carryover |
検体処理に用いる試薬の費用が予想よりも少なく済んだために次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後も腹水細胞検体処理と培養細胞株の遺伝子解析を継続して行い,その費用として使用する.
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