Outline of Annual Research Achievements |
【目的】次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析により特にH. pylori(HP)陽性胃癌と除菌後胃癌の分化度別にわけた癌遺伝子変異を比較した解析を行った。 【検体と方法】大分大学医学部附属病院および関連施設での除菌後発見胃癌は103症例117病変となった。HP陽性高分化型胃癌(A)群5例(平均72.8歳、男/女:4/1)、除菌後高分化型胃癌(B)群5例(平均65.0歳、男/女:4/1)、HP陽性低分化型胃癌(C)群6例(平均69.5歳、男/女:3/3)、除菌後低分化型胃癌(D)群4例(平均72.8歳、男/女:4/0)を遺伝子解析対象とした。パラフィンブロックよりDNA抽出し次世代シーケンサーIon torent 、Ion AmpliSeq Cancer Panel (Life technologies)を用い癌遺伝子変異解析を行った。 【結果】解析50遺伝子座中、80%以上の症例で見られた変異 (novel)はAPC, CSF1R, FGFR3, FLT3, KDR, PDGFRA, RET, STK11, TP53であり、Hotspot 変異を認めた遺伝子座はCTNNB1, HRAS, IDH1, KIT, MET, MH1, PDGFRA, PIK3CA, PTEN, SMARCB1, TP53であった。ATM chr11の変異はA,B群で多数認めるがC,D 群では少数例であった。C群ではRET chr10, STK11 chr19の変異症例が少なく、KIT, TP53において他群にない変異また欠失が認められた。除菌前後、分化度に関わらず同傾向の部位の変異が見られたがPDGFRAはexon18のhotspotに除菌後高分化群のみ変異を認めなかった。 【結語】Hotspotの変異数の差より、除菌後高分化型胃癌群における発癌機序のgeneticな相違が考慮された。
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