2016 Fiscal Year Research-status Report
胃型化・腸型化の分子メカニズム解明と幹細胞をターゲットとした分化誘導療法の開発
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26460945
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
溝下 勤 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (40347414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田 諭史 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30528782)
城 卓志 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30231369)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | in vitro 三次元培養腺管 / 胃幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、研究目的である「消化器疾患治療の新たな展開(胃型化・腸型化の制御による分化誘導療法)を探る」ために種々の検討を行い、平成28年度は以下のような研究成果を得た。1.我々が確立した胃腺管の長期in vitro 三次元培養系(Am J Pathol., 185, 798-807, 2015.)において、gastrospheres(三次元培養腺管+線維芽細胞の集団)と「胃の線維芽細胞」を共培養すると、長期in vitro 三次元培養腺管内の胃上皮細胞の分化が促進する傾向があることを確認した。即ち、Real-time quantitative RT-PCR で検索した結果、gastrospheresと胃の線維芽細胞を共培養した方がgastrospheres単独より、mucin 5AC glycoprotein(MUC5AC)、mucin 6 glycoprotein(MUC6)、pepsinogen C(PgC)、などの胃上皮の分化マーカーの発現が増加していた。以上より、胃の線維芽細胞が胃上皮細胞の分化に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。2.昨年度、我々は腸での異所性MUC5AC発現の検索が、腸管ベーチェット病とクローン病の症例の治療効果判定に有用であることを報告したが(Dig Liver Dis., 47, 991-2, 2015.)、今回は、この知見をさらに検証すべく、長期にadalimumabを投与しているクローン病症例、あるいはadalimumabからinfliximabへスイッチしたクローン病症例にて、腸での異所性MUC5AC発現の検索を行い、上記の知見が臨床的な治療効果判定の一助になることを確認した。以上が、平成28年度の研究実績である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画調書記載内容と照らし合わせた研究の進行度は、以下の如くである。5. ヒト胃癌および大腸癌組織での癌幹細胞の同定と胃型・腸型粘液形質との関連性の検討:胃型腸型粘液形質発現の検索がすでに終了している200例のヒト胃癌手術標本(癌部および非癌部)および100例のヒト大腸癌手術標本(癌部および非癌部)について、幹細胞マーカーであるleucine-rich repeat-containing G protein-coupled receptor-5(LGR5)、B lymphoma moloney murine leukemia virus insertion region homolog-1(Bmi1)、Musashi-1の免疫染色を行い胃幹細胞、腸幹細胞および癌幹細胞(胃癌および大腸癌)の同定を含めて検討中である。6.英語論文作成:平成26年度から平成28年度の実験データを総合的に評価し英語論文の作成を行っている。その他、平成26から27年度に作成した3つの英語論文(Am J Pathol., 185, 798-807, 2015.; Exp Toxicol Pathol., 67, 271-277, 2015.; Dig Liver Dis., 47, 991-2, 2015.)に加えて、平成28年度は、「研究業績の概要」の「2.」で記載した結果を英語論文(Case Rep Gastroenterol., 10, 283-91, 2016.)にまとめた。以上より、区分は(2)と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は、研究計画調書記載内容と照らし合わせて今後の研究の推進方策につき以下のことを考えている。 6. 英語論文作成:現在の実験データで英語論文をまとめる。 上記の英語論文作成と並行して、「3.長期in vitro 三次元培養系を用いた腸型腺管の胃型化の分子メカニズムの解明」と「4.マウスDSS(dextran sulfate sodium)腸炎モデルを用いた大腸粘膜欠損部位へのin vitro 三次元培養大腸粘膜腺管の移植による再生機構の解明」と「5. ヒト胃癌および大腸癌組織での癌幹細胞の同定と胃型・腸型粘液形質との関連性の検討」の検討を引き続き行う。特に「3.長期in vitro 三次元培養系を用いた腸型腺管の胃型化の分子メカニズムの解明」については、①胃の分化に関与するSHHを作用させる、②Runx3やSox2など胃の分化に関与する転写因子を組み込んだアデノウイルスベクターを導入する、といった実験系に力点をおいて研究を進める予定である。「5. ヒト胃癌および大腸癌組織での癌幹細胞の同定と胃型・腸型粘液形質との関連性の検討」については、「現在までの進捗状況」で記載した如く研究を進めている。
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Causes of Carryover |
購入予定であった各種薬品(各種抗体、PCR関連試薬、ウェスタン解析関連試薬、等)、病理組織・細胞培養関連およびプラスチック器具、Sox2(Chemicon)・Cdx1(Abcam)・Cdx2(BioGenex)・Mib1(Abcam)・LGR5(Abgent)・Bmi1(Cell Signaling Technology)・Musashi-1(Cell Signaling Technology)などの各抗体が平成28年度の年度末(平成29年3月末)までに購入できなかったため(納品が間に合わなかったため)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に上記抗体を購入し、研究を継続する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Adalimumab therapy in a patient with Crohn's disease with a giant pelvic paraganglioma after chemotherapy.2017
Author(s)
Mizoshita T, Ando M, Sagawa H, Mori Y, Katano T, Ozeki K, Tanida S, Okamoto Y, Shimura T, Kubota E, Kataoka H, Kamiya T, Joh T.
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Journal Title
Clin J Gastroenterol.
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Long-Term Clinical Remission in Biologically Naïve Crohn's Disease Patients with Adalimumab Therapy, Including Analyses of Switch from Adalimumab to Infliximab.2016
Author(s)
Mizoshita T, Tanida S, Ozeki K, Katano T, Shimura T, Mori Y, Kubota E, Kataoka H, Kamiya T, Joh T.
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Journal Title
Case Rep Gastroenterol.
Volume: 10
Pages: 283-91.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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