2015 Fiscal Year Research-status Report
プロテオミクス解析およびパスウェイ解析による新規胃癌バイオマーカーの検討
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26460949
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高石 官均 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (80286468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 信介 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20297352)
足立 雅之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70338028)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胃がん / HER2 / 化学療法 / バイオマーカー / CD44 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では胃がんの網羅的発現解析を行い、腫瘍の生物学的特徴を解明するとともに薬効予測に有用な新規バイオマーカーを探索することを目的としている。これまでに培養細胞株を用い、胃がんバイオマーカーの探索を行い、NCI-N87(HER2陽性)、Hs746T(MET陽性)、KATO-III( FGFR2陽性)を抽出した。がん細胞に発現するCd44v8-10はcystine transporter (xCT)の安定化に寄与することで酸化ストレスに抵抗性の性質を獲得していることが明らかにされている。3種の細胞株についてCD44v-8-10の発現確認と、xCT阻害剤としてのsulfasarazine (SSZ)に対する感受性の比較を行った。 ①WBにてCD44v8-10の発現比較を行ったところ、Hs746Tで発現が高く、NCI-N87ではやや低め、KATO-IIIではほぼ発現を認めなかった。 ②これらの細胞に対し、SSZに対する感受性の評価を行った。in vitroではCD44v高発現株である746T細胞で高い感受性を示したが、in vivoでは感受性をほぼ認めなかった。NCI-N87細胞ではin vitroにおいてほとんど感受性を示さなかったものの、in vivoにおいては高い感受性を示していた。これらの予想された結果との相違点とHER2およびMET発現の相互関係について明らかにできれば新たな治療戦略の鍵となると思われる。 平成27年度はin vitro/vivoの実験にあわせて、臨床検体を用いた研究も進めるべく、現在西日本癌研究機構(WJOG)にて実施中の多施設共同前向き第II相試験にて収集される血液・組織検体を用いたバイオマーカー研究を計画し研究体制の構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では胃がんにおける薬効予測に有用な新規バイオマーカーを探索することを目的としており、培養細胞株を用いた実験だけではなく、臨床検体を用いた解析も計画している。ここまで十分な臨床検体が集められず臨床検体を用いた解析が進んでいなかった。 平成27年度はその問題を解消すべく、西日本癌治療機構(WJOG)で行なわれている、HER2陽性胃がんに対する抗HER2抗体であるTrastuzumabの二次治療における効果を検討する多施設共同前向き第II相臨床試験において、付随研究として収集される臨床検体を用いて胃がんバイオマーカーの解析を行うべく調整を行ってきた。進行中の試験の付随研究という形になり、調整には時間がかかったものの、現在WJOGにおける最終的なプロトコール改訂の準備をすすめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果も踏まえ、胃癌細胞株を用いた胃癌の生物学的特徴を解明するための解析を進めるとともに、臨床検体を用いたHER2陽性胃癌におけるバイオマーカーの確立を目指した研究もすすめていく。 本研究で使用予定の組織検体は、ランダム化前向き試験に参加した患者のうち一次治療開始前および二次治療開始前に採取されたものになる。胃癌におけるバイオマーカー研究はこれまでにも多くの研究がなされてきたが、HER2以外の臨床的に有用なマーカーはこれまでに確立されていない。HER2陽性胃癌ではHER2陽性乳癌で有効とされた薬剤が有効であるだろうと考えられていたが、HER2/EGFRのチロシンキナーゼ阻害薬Lapatinibに続き、トラスツズマブ-DM1(trastuzumab emtansine:T-DM1)も第III相試験で既存治療に優越性を示すことができず、HER2陽性胃癌での治療開発は思ったように進んでいないのが現状である。我々は本研究の中で、特にHER2陽性胃癌に着目し、その生物学的特性、臨床的バイオマーカーの確立を目指す。
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Causes of Carryover |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度研究計画に基づいた物品調達に充てる予定である。
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