2014 Fiscal Year Research-status Report
シクロスポリンによるSTAT3シグナルを介した腸上皮細胞アポトーシス制御
Project/Area Number |
26460957
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
櫻庭 裕丈 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (90422063)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シクロスポリン / IL-22受容体 / 腸管上皮細胞 / STAT3 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の予定に従い、マウス(C57BL/6)DSS誘発腸炎モデルにおいてシクロスポリン投与による腸管局所のIL-22、分離した腸上皮のIL-22受容体・活性化STAT3発現についての解析を行った。次に抗IL-22抗体、STAT3阻害剤投与によるシクロスポリン治療効果の抑制の有無を検証も行った。 コントロール群に比しシクロスポリン投与群でELISA法及び免疫染色による検討で腸管局所のIL-22の発現増加を認めた。IL-22受容体の発現は、免疫染色による解析では、腸上皮細胞に一致して認め、コントロール群に比しシクロスポリン投与群で発現増加を認めた。またEDTA環流により分離した腸上皮細胞のウェスタンブロット解析の結果でも同様の結果を認めた。IL-22の下流シグナルのSTAT3の発現についても、免疫染色と分離した腸上皮細胞のウェスタンブロット解析の結果、コントロール群に比しシクロスポリン投与群でリン酸化STAT3の発現増加を認めた。 抗IL-22抗体、STAT3阻害剤投与による効果は、コントロール群に比しシクロスポリン投与群で、体重減少、病理組織学的腸炎スコア及び腸上皮細胞アポトーシスが有意に抑制されるが、抗IL-22抗体、STAT3阻害剤投与のいずれにおいても、シクロスポリンによる腸上皮細胞アポトーシスを介した粘膜障害抑制効果が相殺された。 シクロスポリンによる粘膜障害抑制効果には、腸管局所のIL-22発現増強と腸管上皮細胞IL-22受容体の発現増強による粘膜障害抑制機序が関与している可能性が示唆された。 追加解析で腸上皮細胞株Caco2を用いてシクロスポリンの処理による腸上皮細胞IL-22 receptor mRNAの発現について解析を行った。シクロスポリンの処理によってもIL-22 receptor mRNAの発現増強は認めなかった。このことから、シクロスポリンによる腸上皮細胞IL-22受容体発現増強効果は直接的な効果ではない可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の解析目標である、シクロスポリンによる腸管上皮細胞のIL-22受容体、STAT3シグナル調節を介した、粘膜障害抑制効果を確認することができた。さらに、その調節効果は、上皮細胞に対する直接効果ではなく、何らかの他の因子を介した効果であることが示され、次年度その因子について解析をすすめていく。
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Strategy for Future Research Activity |
シクロスポリンによる腸管上皮細胞のIL-22受容体、STAT3シグナル調節効果が、上皮細胞に対する直接効果ではなく、何らかの他の因子を介した効果であることが示された。その介在する因子の候補として当初からTGF-βによるものを想定している。従って、計画書のごとく次年度はまずはTGF-β抑制により、シクロスポリンによる腸管上皮細胞のIL-22受容体、STAT3シグナル調節効果が抑制されるかをDSS腸炎モデルで検証する。同時に腸上皮細胞株を用いて、TGF-βによる腸管上皮細胞のIL-22受容体、STAT3シグナルの直接的な発現調節効果の有無を検証していく予定である。
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Research Products
(1 results)