2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26460961
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 由佳 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (80724658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 喜裕 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10529192)
木下 裕人 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (50645322)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腸間膜脂肪組織 / 実験腸炎モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主として脂肪細胞特異的遺伝子改変マウスを用いた実験腸炎モデルの解析により、腸炎の病態における脂肪組織、とくに脂肪細胞の機能を明らかにすることを目的としている。 脂肪細胞特異的IKKβ欠損マウス(Fabp4-Cre x Ikkb flox/floxマウス)を用いてDextran sulfate sodium(DSS)誘発腸炎(化学物質により腸炎を誘発する実験腸炎モデル)の解析を行った。DSSの濃度や投与日数などを種々の条件で実験を施行したが、コントロールマウスと比較して腸炎の重症度(体重減少や組織学的な炎症の程度など)に有意な差は認められなかった。同マウスを用いた他の実験腸炎モデル(Citrobacter Rodentium感染腸炎および 2,4,6-trinitrobenzenesulfonic acid(TNBS)誘発腸炎)については条件検討中であるが、これまでのところ著明な差は認められていない。Fabp4-Cre x Ikkb flox/floxマウスの各所の脂肪組織(腸間膜脂肪組織、精巣上体脂肪組織、褐色脂肪組織など)においてIKKβのタンパク量や下流のシグナル(NFkBシグナルやMAPKシグナル)の活性化状態をウエスタンブロッティングで見ると、コントロールマウスとの差はわずかであった。通常の飼育状態では、表現型のレベルで明瞭な差を見いだすのは難しいと予想されるため、まず高脂肪食を3ヶ月程度給餌して肥満状態とした後に、腸炎を誘発する実験系を用いる方針とし、高脂肪食給餌を開始している。 脂肪細胞特異的ATG5欠損マウス(Fabp4-Cre x ATG5 flox/floxマウス)についても同様の実験系を用いた解析を計画しているが、マウスの交配が進んでおらず、交配を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予期されていたことではあるが、脂肪細胞特異的な遺伝子改変(IKKβ欠損)のみでは実験腸炎モデルの表現型に著明な影響は認められず、数ヶ月の高脂肪食負荷を行った後に腸炎を誘発するなどのやや複雑な実験系を用いざるを得なくなったため、当初の計画より進捗に遅れがでている。脂肪細胞特異的ATG5欠損マウスについては、想定していたよりもマウスの交配および繁殖が進んでいない。脂肪細胞特異的ATG5欠損が繁殖に有害な影響を与えている可能性も有り、マウスの系統を変更する(Adiponectin-Creに変更するなど)必要があるかもしれない。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、脂肪細胞特異的IKKβ欠損マウスの表現型解析として、数ヶ月の高脂肪食負荷の後に腸炎を誘発する実験系を用いて、肥満状態での腸炎の病態形成における脂肪細胞の機能を解析する。高脂肪食を負荷する期間や腸炎を誘発する方法について条件検討を開始している。得られた表現型のメカニズム解析としては、当初の計画通り、前駆脂肪細胞の初代培養細胞を用いて、サイトカイン産生能や貪食能などの解析を行っていく予定であるが、その際にも高脂肪食負荷後のマウスを用いる必要がある。 脂肪細胞特異的ATG5欠損マウスの作製が進まないことについては、ATG5 flox/floxマウスを野生型マウスと交配するなどの対応をしているが、Fabp4-Cre x ATG5 flox/floxマウスの繁殖に問題があるようであれば、CreマウスをAdiponectin-Creなどに変更することを検討している。
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