2015 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患における線維化機序解明と分子標的治療への応用
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26460976
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
芝田 渉 横浜市立大学, 先端医科学研究センター, 准教授 (00435819)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 線維化 / NF-kB |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患における腸管線維化の分子メカニズムについて、炎症性サイトカインの転写因子であるNF-kBに着目し研究を行っている。平成27年度は①臨床検体利用の開始と、②動物腸管線維化モデルの検討を行った。
①臨床検体の利用については、学内で得られたパラフィン固定腸管検体を用いて、遺伝子変異検索を行う準備を開始した。パラフィン切片を10μm厚に切り専用スライドグラスにのせ、レーザーマイクロダイセクションを開始した。予備実験として結腸粘膜層を剥離し、DNA抽出を開始している。Qbit測定においては次世代シークエンサー解析に足るDNAの質・量を確保できており、今後は次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子解析を開始するため、ライブラリー調整を開始している。
②初年度に検討を行ったIKKβΔMFマウスにおいて、DSS腸炎15日目の腸管においては、病理学的に明らかな線維化を認めなかったことから、同様のDSSモデルで長期間DSS刺激を加えることにより線維化発症モデルの報告があることから、DSS自由引水3回反復モデルを行った。その結果、WTマウスに比べてIKKβΔMFマウスでは、DSS投与中の体重が低値傾向にあったが、有意な低下は認めなかった。腸管線維化の有無および差異については現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①臨床検体の次世代シークエンサーを用いた網羅解析については、臨床検体使用の調整に時間を要したため当初の予定より1年遅れているが、平成27年度より着手できている。
②動物腸管線維化モデルについては、当初計画した短期DSSモデルにおいては十分な線維化変化が認められなかったため、長期DSSモデルなど他のモデルを検討する必要があり、時間を要している。SMCcreマウスを用いた細胞系譜解析についても、Rosa26rマウスが入手できていないため、代用としてRosaYFPマウスを使用し交配を開始しているが、解析には至っていないため時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
①臨床検体の網羅解析に関しては、次世代シークエンサーによる解析にむけて、DNA抽出を継続し、ライブラリー調整が成功した検体については、網羅的シークエンスを予定している。
②動物線維化モデルは、既に投与完了している長期反復DSSモデルでの線維化の有無などを解析するとともに、胎児由来線維芽細胞(MEF)を用いてNF-kBと炎症・線維化関連分子の遺伝子発現変化を検討する。また線維化モデル代替案として、腸管皮下移植モデルも検討中であり解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
①臨床検体の網羅的遺伝子解析については、DNA抽出までが予想以上に時間を要したため、今後次世代シークエンサーに用いる試薬類への支出がなかったことが理由としてあげられる。
②動物モデルについては予想通りに腸管線維化が認められず、その先に計画していた放射線照射骨髄移植モデルなどに使用予定の、動物購入やFACSに使用する試薬類への支出がなかったことが理由としてあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
①疾患患者腸管由来DNAについてはすでに抽出し質・量ともに解析に足るものと判断しており、平成28年度に、次世代シークエンサーによる解析をすでに具体的に計画し必要な試薬の準備を開始している。
②動物モデル継続に対し、消耗品の支出が予想される。一定の結果が得られたのちは学会での報告や論文発表も行うため、それぞれにおいて平成28年度中に支出が予想される。
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