2015 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌、炎症性腸疾患における新規治療標的分子およびバイオマーカーの探索
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26460979
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
櫻井 俊治 近畿大学, 医学部, 講師 (90397539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 正俊 近畿大学, 医学部, 教授 (10298953)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ガンキリン / 炎症性発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガンキリンはプロテアソームのアセンブリーに必要なシャペロンであり、MDM2/HDM2と結合してp53のユビキチン化および分解を介して細胞死を制御し、またIkBと同様、RelAと結合しNF-kB活性を抑制する。ガンキリンは大腸癌で高発現し、stemness factorであるNanog, Oct4, Cdx2の発現を亢進させ、大腸癌において発癌初期より重要な役割を果たしている。本研究においてin vivoでのガンキリンの機能を解析した。 2種類のガンキリンconditional knock-out mice (GankyrinF/F;villin-Cre, GankyrinF/F;Mx1-Cre)を使用した。GankyrinF/F miceとMx1-Cre transgenic miceと掛け合わせたマウスにpoly(I:C) (30 mg/kg)を投与して作成したGankyrinF/F;Mx1-Cre mouseは、炎症細胞と大腸上皮細胞においてガンキリンの発現が低下していた。大腸発癌モデルとしてAOMおよびDSSを投与した。GankyrinF/F;Mx1-Cre mouseではコントロールマウスより有意に大腸発癌が抑制されたが、上皮細胞のみでガンキリンが欠損しているGankyrinF/F;Villin-Cre mouseでは発癌は抑制されなかった。炎症細胞におけるガンキリンが大腸発癌に重要であることがわかった。 ガンキリンをbaitとするyeast two-hybrid screeningを用いて、ガンキリンが脱リン酸化酵素SHP-1と結合することがわかった。この結合は大腸粘膜でも観察された。この結果、炎症細胞においてMAPKの活性化がみとめられ、炎症性サイトカンTNF-aの発現が亢進していた。また幹細胞マーカーの発現が亢進していた。ガンキリンは炎症性発癌を促進し、炎症細胞におけるその役割が重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4種類のガンキリンconditional knock-out mice (GankyrinF/F;villin-Cre, GankyrinF/F;Mx1-Cre, GankyrinF/F;Lgr5-promoter-Cre, GankyrinF/F;Cdx2-Cre mouse)を作成した。GankyrinF/F;villin-CreおよびGankyrinF/F;Cdx2-Creマウスは腸上皮細胞において、GankyrinF/F;Mx1-Creマウスは炎症細胞および上皮細胞においてガンキリンが欠損することを確認した。これらの欠損マウスにDSS, AOMを用いて大腸癌を作らせ、ガンキリンの発癌への影響について検討した。RT-PCR, WB, yeast two-hybrid screeningを用いてガンキリンの作用機序についても検討し、重要な知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度解析していないGankyrinF/F;Lgr5-promoter-Cre, GankyrinF/F;Cdx2-Cre mouseとAOM、DSS投与による大腸発癌、大腸炎モデルを用いて、炎症と発癌におけるin vivoでのガンキリンの機能解析を行う。腸内細菌叢への影響についても検討し、新たな機能を解明する。 治療前後の炎症性腸疾患患者の消化管粘膜組織を内視鏡検査時の生検にて採取し、炎症性腸疾患の活動性および治療抵抗性とガンキリン、幹細胞マーカー、TNFa, IP10, TGFb, BMP4など炎症と発癌に関わる遺伝子発現との関連をRT-qPCRにて検討する。上記患者の臨床経過を追跡し再燃との関連を調べる。炎症性腸疾患の外科標本を用いて、遺伝子発現と術後再発、予後、癌/dysplasiaの有無とその分化度、ステージとの相関を免疫染色法にて検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は、昨年度までに用意した実験材料、試薬を一部使用し、実験を遂行したことと、前年度からの繰り越し金があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、ヒトサンプルを用いた解析に加えて、培養生物学および分子生物学的解析を行う。今年度解析していない2種類のconditional knock-out mouseを用いて、幹細胞や腸内細菌叢への影響を検討する。ガンキリンのヒト大腸の炎症と発癌における役割について更なる考察を加え、ガンキリンを標的とする新規診断および治療法の開発を目指す。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Involvement of Heat shock protein A4 / Apg-2 in refractory inflammatory bowel disease.2015
Author(s)
Adachi T, Sakurai , Kashida H, Mine H, Hagiwara S, Matsui S, Yoshida K, Nishida N, Watanabe T, Itoh K, Fujita J, Kudo M
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Journal Title
Inflamm Bowel Dis
Volume: 21
Pages: 31-39
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Plasmacytoid Dendritic Cell Activation and IFN-α Production Are Prominent Features of Murine Autoimmune Pancreatitis and Human IgG4-Related Autoimmune Pancreatitis.2015
Author(s)
Arai Y, Yamashita K, Kuriyama K, Shiokawa M, Kodama Y, Sakurai T, Mizugishi K, Uchida K, Kadowaki N, Takaori-Kondo A, Kudo M, Okazaki K, Strober W, Chiba T, Watanabe T
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Journal Title
J Immunol
Volume: 195
Pages: 3033-3044
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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