2015 Fiscal Year Research-status Report
非celiacグルテン過敏性腸症の実態調査-過敏性腸症候群との関連に注目して-
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26460980
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
渡邉 知佳子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 講師 (90365263)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
セリアック病発症の遺伝的素因のない日本人におけるグルテン過敏性腸症の実態調査を継続している。海外では過敏性腸症に高率に潜在する可能性が示唆されているため、消化器症状で受診される方を対象に、ローマⅢの診断に基づいた問診を行い、疑われる方は食事との関連、血清抗体検査を行っているが、現在までのところ、グルテン特異的に症状の誘発が証明されたIBS(疑)の症例はない。 グルテン過敏性腸症では、グルテン蛋白の消化不良や、その分解産物による腸管の刺激、腸管粘膜におけるグルテン分解産物の吸収の異常亢進、それに対する粘膜免疫の過剰な反応などの関与が言われている。近年、上部小腸で蛋白質吸収の大部分を担うペプチドトランスポーターが、下部大腸においては、生理的状態では発現がないもしくわ極めてわずかであるが、炎症状況下においては発現がみられ腸内細菌や消化産物を吸収して、炎症の増悪に関与している可能性が示唆されている。 我々は、マウスに炎症性サイトカインTNF投与によりトランスポーターの発現が亢進していることを確認し、それにより腸内細菌関連ペプチドの粘膜内への取り込みが亢進し、白血球のリクルートメントが亢進することを生体顕微鏡を用いて確かめた。今後はトランスポーターが腸管腔側から粘膜側へ取り込むメカニズム、またグルテン分解産物の粘膜免疫担当細胞への影響について、解析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、海外の報告ではグルテン過敏性腸症が0.5~13%と報告されるため、臨床現場での検討を予定していたが、現時点では確定診断に至る患者はなく、罹患率は1%未満と想定される。 そのため、食事成分の代謝(分解)産物と腸内細菌の相互反応と、腸管免疫の総合的検討を動物を用いて行う方針へ変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスにおいて炎症性サイトカイン投与により下部大腸でトランスポーターの発現亢進、細菌分解物の取り込みと免疫反応の亢進が確かめられた。 今後はトランスポーターが腸管腔側から粘膜側へ腸内細菌や代謝産物を取り込むメカニズム、またグルテン分解産物の粘膜免疫担当細胞への影響について、解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
動物・細胞を用いての解析を予定している。 実験動物、試薬などの購入費用として使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物・細胞を用いての解析を予定している。 実験動物、試薬などの購入費用として使用する。
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Research Products
(8 results)