2016 Fiscal Year Research-status Report
NKT 細胞依存性肝炎における肝細胞障害の抑制メカニズムの解析
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26460990
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川村 俊彦 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70301182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 泰洋 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00436768)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝臓 / NKT細胞 / 自己免疫性肝炎 / alpha-galactosylceramide |
Outline of Annual Research Achievements |
NKT細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞に次ぐ第4のリンパ球であり、通常のT細胞とは異なり、糖脂質を認識するT細胞である。人工的に合成された糖脂質である alpha-galactosylcermaide (a-GalCer) はNKT細胞を強力に活性化するが、これをマウスに投与すると、肝臓のNKT細胞が活性化し、その自己反応性により正常な自己の肝細胞を攻撃し、肝障害が起こることを応募者らは報告した(Eur J Immunol 30: 1919, 2000)。また、このモデルにおいて、B-1細胞の活性化に伴う自己抗体産生が起こることも明らかにしている(Immunology 133: 21, 2011)。このモデルは、a-GalCer 誘導性肝炎あるいはNKT細胞依存性肝炎と呼ばれ、自己免疫性肝炎マウスモデルとして研究されている。しかし、このNKT細胞依存性肝炎のメカニズムについては、解明されるべき多くの点が残されている。応募者らは、この肝炎モデルにおいて、肝炎発症早期から、特に肝臓において、著しくCD11b+Gr-1+骨髄系細胞が増加することを確認していた。このCD11b+Gr-1+骨髄系細胞は、炎症などの免疫反応を抑制することが知られており、平成28年度は、この肝炎モデルで増加するCD11b+Gr-1+骨髄系細胞が、肝炎における組織傷害を、抑制しているのではないか、という観点から研究を行った。しかし、予想に反し、これらのCD11b+Gr-1+骨髄系細胞は、肝炎の病態を、抑制するのではなく、むしろ悪化するという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
最終年度である平成28年度に実施した実験が、マウスの繁殖状況悪化等により、想定以上に時間を要した。また、得られた結果が、当初想定していたものとは大きく異なることが判明し、研究計画の大幅な修正が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られた実験結果が、当初想定していたものとは大きく異なることが判明し、研究計画の大幅な修正が必要となった。新たな実験を行うため、G-CSFノックアウトマウス、G-CSFレセプターノックアウトマウス、G-CSFトランスジェニックマウスなどの遺伝子改変マウスを導入して解析を進める。それにより、肝炎モデルで増加するCD11b+Gr-1+骨髄系細胞が肝炎における組織傷害を悪化させるメカニズムについて明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
最終年度に実施した実験により得られた結果が、当初想定していたものとは大きく異なることが判明し、研究計画の大幅な修正が必要となった。新たな実験を行うため、海外より複数の遺伝子改変マウスを購入・導入する必要が生じた。これらのマウス導入には時間を要するため、研究期間の延長を申請して、承認され、平成29年度にこれらのマウスを用いて解析を進める予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、遺伝子改変マウスの購入(海外からの購入・導入を含む)、試薬(抗体、サイトカインなど)の購入に予算を使用する予定である。
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