2014 Fiscal Year Research-status Report
超音波マイクロバブルを用いた劇症肝炎の新しい治療法の開発
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26460991
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
峯村 正実 富山大学, 大学病院, 講師 (10313602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 敏郎 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (00196768)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 劇症肝炎 / 肝マクロファージ / マイクロバブル |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波マイクロバブルを用いた劇症肝炎の新しい治療法の開発が本研究の目的であるが、H26年度は、Propionibacterium acnes/lipopolysaccharide(LPS)投与による劇症肝炎モデルにおける肝マクロファージ(Kupffer細胞)の活性化と貪食能に関する基礎的な検討を主に行った。 1)培養マウスマクロファージ細胞株(RAW264.7細胞)に熱処理により死滅させたP. acnes(0.0001, 0.001, 0.01, 0.1, 1mg/ml)、あるいはLPS(1, 10, 100ng/ml)を単独、あるいは同時併用投与し、6時間後の腫瘍壊死因子α(TNFα)の発現をRael-time PCRにて測定した。肝マクロファージ細胞は、P. acnesに対しては用量依存性にTNFαの発現が増加し、LPSと同時投与することで、単独投与に比べ約8.6倍(基準に対して25.8倍)に発現が増加していた。P. acnes/LPS投与による劇症肝炎モデルにおける肝マクロファージの活性化あるいはその抑制効果のin vitro解析ツールを確立した。 2)肝マクロファージの活性化時における貪食能の変化をRAW264.7細胞を用いて解析した。蛍光標識ビーズ(FITC標識ウサギIgGコートラテックスビーズ)あるいは、超音波造影用マイクロバブル(Sonazoid)を培養RAW264.7細胞に添加し、1,6,24時間後に蛍光顕微鏡(CLCM)と位相差顕微鏡で観察し、貪食能を評価した。LSPで活性化した場合は、未処理に比べ貪食能の低下傾向が認められた。肝マクロファージが活性化した病態では、貪食能に変化が生じ、超音波造影剤(マイクロバブル)におけるイメージングや薬剤デリバリーに影響を与える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
超音波マイクロバブルを用いた劇症肝炎の新しい治療法の開発が本研究の目的であるが、H26年度は、Propionibacterium acnes/lipopolysaccharide(LPS)投与による劇症肝炎モデルにおける肝マクロファージ(Kupffer細胞)の活性化と貪食能に関する基礎的な検討を主に行った。 劇症肝炎の病態形成に重要な肝マクロファージの活性化と貪食能の基礎的な検討は、今後in vivoでの研究を遂行する上で有用であると考えている。また、活性化したマクロファージのマイクロバブルの貪食の変化は、in vivoでのマイクロバブルによるイメージングと薬剤デリバリーに影響がでる可能性が示唆され、今後の実験の遂行の際に注意すべき情報が得られたと考えている。 今回の研究実績としては示していないが、他施設での吸入麻酔下でマウスの尾静脈から超音波造影剤(Sonazoid)を投与し、ハーモニックイメージングによる肝血流とKupfferイメージの撮像も経験しており、マウス劇症肝炎モデルでの検討も準備中である。 H26年度は当初の計画のうち基礎的な部分しか検討できていないが、H27年度の研究を遂行する上で必要な実験であったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波マイクロバブルを用いた劇症肝炎の新しい治療法の開発が本研究の目的であり、劇症肝炎モデルへのマイクロバブルの投与による肝マクロファージの挙動のイメージングを行う予定である。また、リアルタイムではないが、劇症肝炎状態のマクロファージの分布などをより客観的に評価するためSPIO(Resovist)を用いたMRIによる検討も考えている。 劇症肝炎病態での超音波造影剤(Sonazoid)によるkupffer細胞の可視化は可能と考えているが、Sonazoidそのものに薬剤(アンチセンスオリゴやNF-κ活性化抑制薬剤)などを内包することは化学技術的に困難であることがわかり、PEG化していないバブルリポソームを用いた方策を推進する予定である。in vivoでの投与前に、今回確立した肝マクロファージのin vitroでのアッセイ系を用いて、薬剤を充填したバブルリポソームの貪食状況、薬剤の効果発現の確認実験を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
H26年度は、Propionibacterium acnes/lipopolysaccharide(LPS)投与による劇症肝炎モデルにおける肝マクロファージ(Kupffer細胞)の活性化と貪食能に関する基礎的な検討を主に行うことに研究時間を要したため、マウス劇症肝炎モデルでの実験が遅れ、動物の購入費などの費用が使用されたかったため、次年度の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度は、Propionibacterium acnes/lipopolysaccharide(LPS)投与による劇症肝炎モデル作成のためのマウスの購入、in vivoでのマイクロバブルの投与などの実験を遂行するために使用する。
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