2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26461003
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
勝二 郁夫 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40356241)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | HCV / 肝炎 / 肝癌 / 肝脂肪化 / ウイルス増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
HCV粒子形成は脂肪滴近傍の小胞体膜上で起こり、脂肪滴形成がウイルス産生にきわめて重要である。HCV感染に伴う脂肪滴形成にはウイルス蛋白質Core, NS5Aや宿主因子DGAT1, TIP47, ApoB, ApoEなどが重要であると考えられているが、未だ全貌は明らかでない。そこで、本研究ではHCV感染に伴う脂肪滴形成のウイルス蛋白質の役割と重要な宿主因子について解析を進めた。今年度の解析の中でHCV NS5A蛋白質に結合する新規宿主因子として脱ユビキチン化酵素OTUD7Bを同定した。OTUD7BはNF-kB経路を負に調節する因子として知られている。NS5Aはdomain IでOTUD7Bと相互作用することを免疫沈降法で明らかにした。また、NS5AはOTUD7Bと細胞質で共局在した。さらにNS5AとOTUD7Bを共発現させるとOTUD7Bの脱ユビキチン化酵素活性を促進することから、NS5Aは相互作用を介して、OTUD7Bがユビキチン化を調節する宿主因子の安定性に関与する可能性が示された。次に、HCV感染によりSPG20が減少することを見いだし、HCV感染によりSPG20の切断が促進されることを見いだした。SPG20は脂肪滴の大きさの調節に関与することが知られており、SPG20の切断と脂肪滴形成機構に機能的な関連がある可能性が示唆された。今後はSPG20切断に関与する因子をウイルス因子と宿主因子の両方から解析して明らかにしていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度はHCV NS5Aの新規結合因子OTUD7Bを同定した。NS5AとOTUD7Bの相互作用がOTUD7Bの脱ユビキチン化酵素活性を促進することから、OUTD7Bの活性亢進と脂肪滴形成の関与が示唆された。また、HCV感染によるSPG20減少の機序が蛋白分解酵素による切断である可能性が示された。この分子機序を明らかにできれば、脂肪滴形成を阻害できる新規治療法につながる可能性があり、おおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はSPG20の切断を担う因子をウイルス側因子(NS3/4Aプロテアーゼ、NS2プロテアーゼ)や宿主側因子(NS3/4Aなどで活性が変化する細胞内プロテアーゼ)を明らかにしていく。HCV感染によるSPG20, AIP2/AIP4/AIP5, Adipophilinの量的変化について解析する。SPG20の切断酵素を阻害した場合の脂肪滴肥大化への抑制効果を各種阻害剤、siRNAなどを用いて解析していく。
|
Causes of Carryover |
今年度は旅費を予定より少額しか使用しなかった。次年度は国内学会、国際学会で発表する予定であり、次年度用に使用することを計画している。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度はSPG20の切断酵素同定のために各種抗体、阻害剤の購入を予定している。また、成果発表のための国内学会、国際学会、および論文作成のための校正費用、論文投稿費に充てる予定である。
|