2015 Fiscal Year Research-status Report
組織修復マクロファージに発現する新規分子Gpnmbの肝癌の発育・進展に及ぼす影響
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26461013
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井戸 章雄 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30291545)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 急性肝不全 / マクロファージ / 組織修復 / 肝再生 / 肝繊維化 / 炎症性発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、CCl4急性肝障害モデルの修復期にはMCP-1発現が誘導され、高い貪食能を有するCD68陽性マクロファージが浸潤した。一方、Clodronateでこれらのマクロファージを欠損させると肝障害が遷延化した。一方、GpnmbはCCl4誘導肝障害モデルにおいて肝浸潤マクロファージに発現する。CCl4投与後4日以降に傷害肝に浸潤していたCD68陽性マクロファージの約半数にGpnmbが発現しており、CD68+Gpnmb+マクロファージはCD68+Gpnmb-マクロファージに比してより高い貪食能を有していた。そこで、Gpnmb発現を欠損したDBAマウスにCCl4急性肝障害を誘導したところ、肝障害の程度には差がみられなかったが、修復期における線維形成が抑制され、MMP9, MMP13, TIMP-1の発現はいずれも低下していた。一方、単離した肝マクロファージにおいて、貪食刺激はGpnmb発現に影響を及ぼさなかったが、貪食およびGpnmg発現抑制によって培養上清中MMP13が増加した。一方、Gpnmb発現抑制はMMP13 mRNAの発現レベルには影響を与えなかったことから、MMP13の分泌に関与していることが考えられた。 一方、CCl4肝障害の修復機に脾臓に同種肝癌細胞を接種すると、肝内の形成される肝癌結節数が有意に増加し、肝癌結節周囲に浸潤したマクロファージには血管内皮増殖因(VEGF)子の発現が認められた。 これらの研究成果から、障害肝の修復過程において浸潤マクロファージが繊維形成を制御することで肝再生・修復に関与していること、併せてマクロファージに発現するVEGFが肝癌の発育・進展に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
急性肝障害モデルを用いて、障害肝の再生修復過程におけるマクロファージの役割を、新規分子Gpnmbに着目して解析した研究成果は、幾つかの追加実験を支持されたが、2015年11月にPLoS Oneに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までに、障害肝の修復過程において、移植肝癌結節の発育が促進されること、また肝癌結節の発育促進に肝癌周囲に浸潤したマクロファージにはVEGFが発現していることを明らかにした。平成28年度では、このマクロファージおよびこれらのマクロファージが産生するVEGFの肝癌発育促進の分子機構を明らかにする。
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[Journal Article] Glycoprotein Nonmetastatic Melanoma B (Gpnmb)-Positive Macrophages Contribute to the Balance between Fibrosis and Fibrolysis during the Repair of Acute Liver Injury in Mice2015
Author(s)
Kumagai K, Tabu K, Sasaki F, Takami Y, Morinaga Y, Mawatari S, Hashimoto S, Tanoue S, Kanmura S, Tamai T, Moriuchi A, Uto H, Tsubouchi H, Ido A.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 10
Pages: e0143413
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant