2015 Fiscal Year Research-status Report
肝浸潤ミエロイド細胞を標的とした血管新生抑制肝癌治療の開発
Project/Area Number |
26461028
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
考藤 達哉 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 部長 (80372613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 雅史 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, センター長 (40166038)
是永 匡紹 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 室長 (70420536)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肝がん / 血管新生 / ミエロイド細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌は血流の豊富な腫瘍であり、その発生、進展、転移に血管新生が重要な役割を果たしている。肝細胞癌組織で血管内皮細胞増殖因子(VEGF)やアンギオポエチン(ANG)などの血管新生因子が発現すること、これらの因子の発現の程度と脈管侵襲、転移の程度や生命予後が相関することが報告されている。我々の検討によって、ANG-2の受容体であるTIE-2を発現する単球(TIE2-expressing monocytes, TEM)が肝癌患者の末梢血および肝臓組織中で増加しており、肝細胞癌組織における血管新生と正相関することが明らかになっている。本研究では、血管新生と免疫抑制を繋ぐマクロファージなどの骨髄系細胞の肝癌への浸潤、分化誘導の分子機序を解明することを目的としている。また肝がんに対する治療効果と血管新生関連細胞の関連性を検討し、肝癌制御のための治療標的を明らかにすることを目標とする。 前年度までに、肝がん患者では、M-CSF、HGF、IL-8、IP-10が健康成人に比較して高値であること、肝がん患者を末梢血TEM頻度によってTEM頻度高群(>2.75%)、TEM頻度低群(<2.75%)に分けて各因子を比較すると、TEM頻度高群ではM-CSF、HGF、Osteopontin、Follistatinが高値であることを明らかにした。また末梢血単球からM-CSFによってTEMが誘導されることを明らかにした。進行肝がんに対する治療としてソラフェニブが用いられているが、ソラフェニブは血管新生抑制作用を持ち、治療効果とTEMとの関連性が示唆される。ソラフェニブ治療を行った肝がん患者において治療前、治療中のTEM頻度、M-CSFと治療効果との関連性を検討すると、治療開始1ヶ月でのTEM頻度と生命予後が相関していた。TEMはソラフェニブの治療効果を反映するバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血清中の造血因子、ケモカイン、サイトカインを一括測定できるシステム(Mutiplex法)を用いて、肝がん患者では、M-CSF、HGF、IL-8、IP-10が健康成人に比較して有意に高値であることを明らかにした。また、肝がん患者を対象としてTEM頻度と各因子との関連性を比較することで、TEM高値群ではM-CSF、HGF、Osteopontin、Follistatinが高値であること、M-CSFは肝がん患者におけるTEMの誘導に関与する可能性を示した。進行肝がんに対するソラフェニブ治療において、治療導入後1ヶ月時点でのTEM頻度が低い症例では、生命予後が良好であることが明らかになった。以上の結果は、肝がんに対するソラフェニブ治療の効果にTEMが関与する可能性を示唆しており、TEM頻度の計測が効果判定のバイオマーカーとして応用可能であることを示している。概ね計画通りの達成度である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)低酸素環境で肝がんに誘導される血管新生関連細胞修飾因子の解明 肝がんが低酸素環境に暴露されると、様々な液性因子や細胞内小胞体(Exosome, Microvesicle)を産生・分泌し、周辺の免疫細胞や血管新生関連細胞を活性化する機序が報告されている。TEMの誘導も低酸素環境下での事象であり、同環境で産生放出される因子が関与する可能性がある。種々の肝がん細胞株、対照として正常肝細胞や免疫細胞を低酸素環境、通常酸素環境で培養し、産生・放出される因子をMultiplex法で解析する。またExosome/MicrovesicleをExoquickを用いて回収し、含有されるmiRNAを網羅的に解析する。低酸素環境で高産生、高発現する因子を同定し、in vitroでのTEM誘導系やHUVEC細胞を用いた血管新生評価系で検証する。 2)肝癌患者における低酸素環境関連肝がん産生因子の臨床的意義の評価 上記の検討により、TEM誘導能や血管新生誘導能をもつ低酸素環境関連因子が同定できれば、肝がん患者血液中での定量・定性系を確立する。その後、同因子の肝がん病態や肝機能との関連性を検討し、バイオマーカーや治療標的としての有用性を明らかにする。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] The impact of PNPLA3 and JAZF1 on hepatocellular carcinoma in non-viral hepatitis patients with type 2 diabetes mellitus2016
Author(s)
Ueyama, M., Nishida, N., Korenaga, M., Korenaga, K., Kumagai, E., et al.
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Journal Title
Journal of Gastroenterology
Volume: 51
Pages: 370-379
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Geographic distribution and characteristics of genotype A hepatitis B virus infection in acute and chronic hepatitis B patients in Japan.2016
Author(s)
Ito, K, Yotsuyanagi H, Sugiyama M, Yatsuhashi H, Karino Y, Takikawa Y, Saito T, Arase Y, Imazeki F, Kurosaki M, Umemura T, Ichida T, Toyoda H, Yoneda M, Tanaka Y, Mita E, Yamamoto K, Michitaka K, Maeshiro T, Tanuma J, Korenaga M, Murata K, Masaki N, Koike K, Mizokami M.
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Journal Title
J Gastroenterology and Hepatology
Volume: 31
Pages: 180-189
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Effects of HLA-DPB1 genotypes on chronic hepatitis B infection in Japanese.2015
Author(s)
Nishida N, Ohashi J, Sugiyama M, Tsuchiura T, Yamamoto K, Hino K, Honda M, Kaneko S, Yatsuhashi H, Koike K, Yokosuka O, Tanaka E, Taketomi A), Kurosaki M, Izumi N, Sakamoto N, Eguchi Y, Sasazuki T, Tokunaga K, Kanto T, Mizokami M
Organizer
The American Association for the Study of Liver Diseases (AASLD), 66th Annual Meeting and Postgraduate Course,
Place of Presentation
San Francisco, USA
Year and Date
2015-11-13 – 2015-11-17
Int'l Joint Research
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[Presentation] Cancer-associated or cirrhosis fibroblasts recovered from hepatocellular carcinoma promote macrophages and cancer cells to progressive phenotype.2015
Author(s)
Mano Y, Kanto T, Shoji H, Yoshio S, Sugiyama M, Osawa Y, Kimura K, Shirabe K, Maehara Y, Mizokami M.
Organizer
Annual Meeting of American Association of Cancer Research (AACR)
Place of Presentation
Philadelphia, USA
Year and Date
2015-04-19 – 2015-04-22
Int'l Joint Research
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