2015 Fiscal Year Research-status Report
持続性心房細動における心房内異常電位の成因と機序の解明
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26461055
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村越 伸行 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80447218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青沼 和隆 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10375488)
五十嵐 都 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20633126) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 臨床心臓学 / 不整脈 / 心房細動 / 連続性分裂電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、持続性心房細動において難治性の指標であり、局所アブレーションのターゲットである心房内異常電位(連続性分裂電位)に着目し、その成因・機序を電気生理学的・病理学的に明らかにし、持続性心房細動の治療成績の向上、あるいは予防的治療への応用を目的とした。ラット初代心房筋培養細胞と線維芽細胞を平面電極上に混合培養し、24~48時間、100~200Hzの高頻度ペーシングを行った。対照群はペーシングせず通常の培養を行った。活動電位持続時間、局所電位、興奮伝播様式を記録し、ペーシング有無による電位の違いを評価した。同様に、心筋・線維芽細胞混合培養細胞に膜電位感受性蛍光色素を添加し、興奮伝播様式を可視的に解析し、ペーシングの有無による相違を評価した。高頻度ペーシング群の心筋細胞線維芽細胞混合培養中に連続性分裂電位様の波形が認められ、同部位から細胞を回収し、RNAを抽出して遺伝子発現解析を行った。しかし混合培養細胞における連続性分裂電位様波形は再現性が低く、さらなる培養・実験条件等の検討が必要と考えられた。また免疫染色によりgap junctionを評価したところ、混合培養した心筋細胞間にconnexin 40の発現が認められ、高頻度ペーシング群ではconnexin 40の発現の低下が認められた。野生型マウス、左冠動脈結紮による心筋梗塞モデルマウス、および高脂肪食マウスを用いて、頸静脈的に1.2French多電極カテーテルを右心房に挿入し、電気生理検査および心房細動誘発を行った。高脂肪食マウスでは、通常食マウスと比較し心房細動誘発率の上昇が認められ、膜電位イメージングでは心房からの遅延後脱分極からの誘発活動の亢進が認められた。今後、培養条件、実験条件を再度検討し、再現性の高い実験系を確立した後、連続性分裂電位を生じる電気生理学的・分子学的特性を明らかにし、それを抑制できるような薬剤をスクリーニングする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心房筋細胞と線維芽細胞の混合培養系におけるイオンチャネル、受容体などの発現解析を行い、電気生理学的解析、およびイメージジングを行った。高頻度ペーシング群の心筋細胞線維芽細胞混合培養中に連続性分裂電位様の波形が認められ、同部位から細胞を回収し、RNAを抽出して遺伝子発現解析を行った。しかし混合培養細胞における連続性分裂電位様電位は再現性が低く、十分な実験系が得られなかったため平成27年度に目標にした連続性分裂電位を生じさせる候補因子の同定、および異常電位を消失させる薬剤の同定に至らなかった。今後、培養条件(使用する細胞の種類、混合比率、培地など)、実験条件(電気生理学的解析機器の選択、ペーシング条件など)を再度検討し、再現性の高い実験系を確立した後、予定の実験を進めていく。In vivoの実験系は計画よりも早く進行しており、引き続きマウス生体における心房細動の電気生理学的分子生理学的解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は初代心房筋細胞と線維芽細胞の混合培養系およびHL-1細胞の培養系を使用する。活動電位持続時間、局所電位、興奮伝播様式を多点電極記録システムと心房内異常電位自動判定システムで同時に記録し、異常電位(連続性分裂電位)を同定する。長時間心房筋ペーシング後の心房筋線維芽混合培養の異常電位を呈する部位および正常電位を呈する部位を回収しRNAを抽出し、マイクロアレイで遺伝子発現を網羅的に解析する。さまざまな心房細動モデルマウスを用いて、心房組織切片、ランゲンドルフ潅流心、あるいはin vivoにおいて、多点平面電極システム、高速イメージング、心房内異常電位自動判定システム、およびテレメトリー心電計を併用し、活動電位持続時間、局所電位、興奮伝播様式を記録し、心房内異常電位(連続性分裂電位)を同定し、その電気生理学的・分子学的特性を明らかにする。既存の薬剤や小分子化合物ライブラリーから連続性分裂電位を抑制できるような薬剤をスクリーニングし、心房細動の治療薬として有効かどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
実験系の確立が難しく、計画していたマイクロアレイ解析やスクリーニングを施行できなかったため次年度繰越が生じた。精度の高い実験系を確立し、今年度これらの実験を遂行する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リアルタイムPCR、免疫染色などの分子学的解析用試薬、実験動物の購入などの物品費、あるいはマイクロアレイの外部受託解析などのその他の費用として使用する予定である。
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