2015 Fiscal Year Research-status Report
薬剤溶出性ステント留置後の冠動脈内皮機能障害軽減による長期予後改善に関する研究
Project/Area Number |
26461059
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
尾畑 純栄 山梨大学, 総合研究部, 講師 (60362076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 幸生 山梨大学, 総合研究部, 助教 (50377511)
藤岡 大佑 山梨大学, 総合研究部, 助教 (70377513)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬剤溶出性ステント / 冠動脈内皮機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血性心疾患に対する血行再建療法(経皮的冠動脈インターベンション;Percutaneous coronary intervention)に大きく貢献した薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent; DES)であるが、ベアメタルステント(bare metal stent; BMS)では見られなかった様々な問題(超遅発性ステント血栓症・冠攣縮・ステント内新規アテローム性動脈硬化症など)が指摘されている。これらはいずれも血管内皮機能障害に起因していると考えられ、特に冠攣縮は将来の心血管イベント発症の独立した危険因子と言われている。本研究は多施設共同レジストリーで、DES留置後の冠動脈内皮機能の経時的変化と長期予後の関連を検討することで、欧米人に比べて冠攣縮性狭心症の発症率が高い我が国において、DESの使用が長期予後に悪影響を及ぼすかどうかを明らかにすることである。 本研究の対象患者のソースとなっている山梨PCIレジストリーに登録された症例の検討から、平成27年度は臨床研究では、1)梗塞領域の心筋で産生されたplasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1)は冠循環に入り、梗塞責任冠動脈の抵抗血管レベルの内皮機能障害および梗塞領域の左室の進行性の障害と関連していること、2)心筋梗塞慢性期(発症6か月後)における梗塞心筋でのstoromal cell-derived factor-1α (SDF-1α)の産生は、左室のリモデリングおよび心機能障害と関連していること、3)低輝度の頸動脈プラークは安定冠動脈患者の将来の腎機能障害と関連すること、また4)頸動脈プラーク内の血管新生をmicro bubbleを用いた造影頸動脈エコーで定量化することに成功し、この方法にて冠疾患患者のリスクの層別化に有用であること、などを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床研究のデータベースとなっている山梨PCIレジストリーへの虚血性心疾患患者の登録は順調に増加してきている。しかし、近年はDESの使用が主流となっており、BMSの使用はかなり少なくなってきた。新たに症例数の増加が見込めないBMSは、ヒストリカルデータベースも用いることで、DESに対する対照群として比較検討することとした。臨床研究のデータ解析に時間を要したため、基礎研究に取り組む余裕がなく、予定より遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
梗塞責任冠動脈の血管内皮機能の検討が済んだ症例は、引き続き長期臨床イベントの有無を評価すべくフォローしていく。遅れている基礎研究に関しては早期に終了させ、その結果を臨床研究に適応していく。新規登録症例についても順次flow wireを用いた抵抗血管レベルの血管内皮機能の検討を行い、データを蓄積していき、これまでの症例との比較検討を行っていく予定です。
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