2014 Fiscal Year Research-status Report
断片化興奮波wavelet伝播とCa動態の光学的追跡による心房細動発症機転の解明
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26461078
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
酒井 哲郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40153845)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膜電位イメージング / Ca2+イメージング / 不整脈 / 頻拍様興奮 / 膜電位感受性色素 / 心房 / 心房細動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は当初の計画通り、膜電位イメージングの技法を駆使して、心房細動モデル(tachycardia-like excitation)における不整脈誘発時および維持期の興奮波伝播パターンのmapping を進めてきた。これまでの研究ではわれわれは長いwavefront を持った“大きな興奮波”を中心にmapping をおこなって来たが、本研究では、これまであまり重要視して来なかった断片化したwavelet に注目したmapping をおこない、re-entry path やblocked area の形成、自発興奮の異所性focus の発現などをより詳細に記録をおこなった。その結果、これまで知られていなかった、興奮波が不規則に伝播する"chaotic propagation pattern"の存在が明らかにされつつある。 なお、tachycardia-like excitation 誘発に際してはproarrhythmic なcondition を作るため細胞内Ca2+ dynamic の擾乱を引き起こす実験操作(Ca2+負荷、ouabain, ryanodine などの薬物投与等)もおこない、安定して不整脈を発現する条件の確立の目途が立ってきている。 測定技術の面ではscMOSカメラを受光素子に導入することで、動画による興奮波伝播パターンの可視化が可能となり、実験の効率が大幅に上がることが明らかとなった。現在、このカメラを用いるための測定システムの改良を進めている。またこのカメラは、Ca2+イメージングにも優れた性能を発揮することが期待されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画において、膜電位イメージングの受光素子としてフォトダイオードアレイを用いる計画で、この路線に沿って研究を進めてきたが、年度途中において、予想外の成果として最新のscMOSカメラがこの用途に用いることが可能で、さらに、興奮伝播の動画化という新しい機能が加わることにより、実験の効率の大幅な改善が期待されることが明らかとなった。そのため、基金の前倒しをおこない、scMOSカメラをいち早く導入し、これを軸にした測定システムの改良を急いでおり、平成27年度にはこのシステムによるマッピングの効率化が期待できる。また、このカメラはCa2+イメージングの受光素子としても当初計画のCCDカメラより優れており、その面でも質の高いデータを得られることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究の成果をふまえ、新規に導入したscMOSカメラを用いた膜電位イメージングによる興奮は伝播のマッピングを精力的に進める。これにより、これまでの等時線によるmappingに加え、興奮領域の移動を動画化することが可能となり、実験の大幅な改善が期待できる。 あわせて、Ca2+イメージングシステムの作成を急ぎ、膜電位感受性色素と細胞内Ca2+プローブによる二重染色をした標本を用いた不整脈発現中の興奮伝播パターンと細胞内Ca2+dynamics のdouble imaging / mapping をおこなう。 さらに本年度は26年度の計画の実験に加え、remodeling 等によるproarrhythmic な変化の心房細動モデルによる解析の第一段階として、加齢ラット(1年齢、2年齢)を用いた実験を開始する。
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Research Products
(3 results)