2016 Fiscal Year Research-status Report
断片化興奮波wavelet伝播とCa動態の光学的追跡による心房細動発症機転の解明
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26461078
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
酒井 哲郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40153845)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膜電位イメージング / Ca2+イメージング / 不整脈 / 頻拍様興奮 / 膜電位感受性色素 / 心房 / 心房細動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においてもこれまでの計画通り、膜電位イメージングの技法を駆使して、実験的心房細動モデル(頻拍様興奮: tachycardia-like excitation)における不整脈誘発時および維持期の興奮波伝播パターンのmapping を進めてきた。本研究では、これまであまり重要視して来なかった断片化した興奮波wavelet に注目したmapping をおこない、re-entry path やblocked area の形成、自発興奮の異所性focus の発現などをより詳細に記録をおこなってきている。その結果、これまで知られていなかった、興奮波が不規則に伝播する"chaotic propagation pattern"の存在が明らかにされてきた。 特に平成28年度においては、上記の目的のため、最新の受光素子であるscMOSカメラを導入し、興奮波伝播パターンの動画による可視化を可能とする新しい測定技術の開発を動物実験と併行して進めてきた。その結果、測定技術の面ではコンピュータによるシグナル処理技術やコンピュータグラフィックス技術を駆使した興奮波伝播可視化のためのノウハウを蓄積し、基本的測定技術をほぼ完成させ、実験の効率が大幅に上がった。 一方、動物実験の面では、tachycardia-like excitation 誘発に関するproarrhythmic なcondition を作るため細胞内Ca2+ dynamics の擾乱を引き起こす実験操作(Ca2+負荷、ouabain, ryanodine などの薬物投与等)のデータが蓄積し、安定して不整脈を発現させる条件が定まってきた。さらに生後半年以上の「加齢ラット」を用いた実験も開始した。またgap junction阻害剤としてheptanolなどを用いることによって不整脈を誘発できることも明らかになってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画においては膜電位イメージングの受光素子としてフォトダイオードアレイを用いる計画で研究を進めてきたが、平成28年度では最新のscMOSカメラを用いた膜電位イメージングを導入し、興奮伝播の動画化という新しい実験技術を主に用いて実験を進めてきた。結果、予想よりも早く実験技術の基礎を固めることができた。さらに動物実験の面ではこれまでの不整脈発現の条件に加えて、ラットの加齢やgap junction阻害などがその候補として挙がってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はこれまでの研究の成果をふまえ、scMOSカメラを用いた膜電位イメージングによる興奮波伝播のマッピングの技術をさらに高度のものとするための努力をすすめていく。また動物実験の面では、新しく開始した、remodeling 等によるproarrhythmic な変化を解析していくための加齢ラット(1年齢、2年齢)を用いた実験をすすめるとともに、gap junction阻害剤としてheptanolを用いた実験も試みる。
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Causes of Carryover |
平成28年度では、受光素子として、scMOS カメラを導入することにより膜電位イメージングによる興奮波伝播パターンのマッピングの作成の技術開発を動物実験と併行しておこなっていた。そのため、全体としての動物実験の数は予想より少なかった。しかし、その成果により動物実験におけるマッピング作成の効率を大幅に向上することに成功した。 このため、試薬類、実験動物などの消耗品の支出が予想より少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の実績を踏まえて、本年度では動物実験を本格的に展開する。あわせて、測定システム周辺のハードウエアの小規模な改良を進めていく。
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Research Products
(2 results)