2015 Fiscal Year Research-status Report
心臓周囲脂肪の炎症が心筋ミトコンドリア機能に与える影響
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26461090
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山本 平 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70301504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 訓 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20407315)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者は冠動脈疾患とともに心筋細胞の収縮力そのものが傷害されていることが報告されており、これが血流障害と相乗的に作用して、糖尿病患者の予後を悪くしている可能性が示唆されている。本研究は糖尿病が組織ミトコンドリア機能にどのような影響を与えるのかを検証するものである。本年度は手術中に切除された心房筋(左心耳)を解析し、病態と組織ミトコンドリアにどのような関連性があるかを検討した。透析症例および心房細動を除いた症例を解析した。全症例214例のうち非糖尿病(DM-)は164例、糖尿病(DM+)は50例であった。平均年齢はそれぞれ62.4歳と70.2歳とDM+で高齢であった。男女比には有意差はなかった。心機能はLVDd/LVDsに差はなかったもののLVEFはDM-:62.6%、DM+:51.7%とDM +で有意に悪かった。またNYHAもDM-:1.53に対し、DM+:1.79と有意に高かった。疾患別ではDM-では虚血性心疾患は27%だったがDM+では78%と大きな差が見られた。また腎機能の指標であるクレアチニン値もDM-:0.78mg/dLに対し、DM+:1.00 mg/dLと有意に高かった。血清BNP値もDM-:135 pg/mL、DM+:160 pg/mLと高い傾向が認められたが、両群に有意差はなかった。その他、血清脂質プロファイルや尿酸値、肝機能や総蛋白、アルブミン値に有意差は認めなった。次いで組織解析において組織に含まれるミトコンドリア関連遺伝子を検証したところ、それぞれDM- vs DM+でNRF-1: 2.88 vs 5.44, PGC1α: 5.2 vs 7.4, Tfam1:1.65 vs 3.68 ND6: 88.9 vs 105.6, NDUFB8: 24.0 vs 27.5 といずれもDM+でミトコンドリア関連遺伝子が有意にもしくは高い傾向が認められた。一方でミトコンドリアのアポトーシス関連因子であるCASP9はDM+で有意に高く、さらに炎症性サイトカインのうちTNFα、IL-1βもDM+で有意に高値であった。IL-6の発現に差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定と順序は前後しており、動物モデル作成に先立ち、ヒト組織の解析を中心に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたヒト心房筋および周辺脂肪よりミトコンドリアのみを市販のキットを用いて抽出する。得られたミトコンドリアの組織当たりの分量を測定、糖尿病においてミトコンドリア含有量がどの程度変化しているかを非糖尿病群と比較検討するとともにミトコンドリアの酸素消費量をそれぞれ測定、ミトコンドリア機能にどの程度影響を与えているかをさらに検討する。 また同時に糖尿病マウスを作成し、心機能測定、脂肪組織解析および心筋に含まれるミトコンドリア解析を同時に行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、27年度までに動物モデルを中心に行う予定であったため動物の購入費として予算を計上していた。 しかしながら研究計画をヒト組織解析と前後したため、その分の使用予算が浮いてしまっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は計画通り、動物実験に昨年度分を上乗せして使用する予定である
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