2016 Fiscal Year Research-status Report
心臓周囲脂肪の炎症が心筋ミトコンドリア機能に与える影響
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26461090
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山本 平 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (70301504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 訓 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20407315)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖尿病 / ミトコンドリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は手術中に切除された心房筋(左心耳)および脂肪を解析し、これらの組織に含まれるミトコンドリアの動向と病態がどのように関連するかを検討した。それぞれについて非糖尿病(DM-)と糖尿病(DM+)患者を比較した。患者背景においてはDM +で術前のエコーデータにおける左室駆出率(LVEF)が有意に低く(DM-=62.6%、DM+=51.7%)、術前NYHAが有意に高かった(DM-=1.53、DM+=1.79)。左心耳に含まれるミトコンドリア関連遺伝子は、DM+で有意にもしくは高い傾向が認められた(NRF-1: 2.88 vs 5.44, PGC1α: 5.2 vs 7.4, Tfam1:1.65 vs 3.68 ND6: 88.9 vs 105.6, NDUFB8: 24.0 vs 27.5, DM- vs. DM+) さらにアポトーシス関連因子であるCASP9はDM+で有意に高く、さらに炎症性サイトカインのうちTNFα、IL-1βもDM+で有意に高値であった。IL-6の発現に差は認めなかった。次に心臓周囲脂肪に含まれるミトコンドリア関連遺伝子を解析した。すると左心耳心筋同様、DM+で有意にもしくは高い傾向が認められた(PGC1α: 2.16 vs 2.37, ND6: 27.7 vs 62.7, NDUFB8: 65.3 vs. 96.9)。一方で NRF-1のみDM-で高かった(NRF1 = 5.7 vs. 1.7: DM- vs. DM+)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト組織において心房心筋および脂肪組織を用いたミトコンドリア関連遺伝子発現の検討が終了した。データーは概ね揃ったが、現在さらなる解析を行うためもう1年間の追加研究機関が必要となる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病症例と非糖尿病症例においてミトコンドリア関連遺伝子の発現に大きな差が生じていることが分かった。今後、左心耳に負荷がかかる症例などにおいて心房筋及びその周囲脂肪のエネルギー代謝にどのような差異が生じるのか、また小動物モデルを用いて糖尿病を誘発、ミトコンドリア機能の活性促進薬などの投与により心臓リモデリング改善効果などがみられるかの検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の結果に加えて一部再解析が必要なため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
再解析に用いる
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