2015 Fiscal Year Research-status Report
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26461093
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
安藤 栄里子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (30410046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 匠 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20267537)
重田 優子 鶴見大学, 歯学部, 講師 (40367298)
石川 千恵子 鶴見大学, 歯学部, 臨床教授 (70176163)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 肥満 / 項靱帯石灰化 / いびき / 頚椎骨棘形成 / アテローム性動脈硬化 / 高カルシウム血症 / 側方頭部X線規格写真 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠時無呼吸症候群(OSA)のリスクファクターとして、肥満や顎顔面頭蓋形態がよく知られている。しかし、日本人において、極度な肥満は少なく、顎顔面頭蓋形態が唯一の発症要因であるとも言い切れない。これまで広汎性特発性骨増殖症をはじめとし、さまざまな因子が検討されてきた。しかし、これまで項靱帯の石灰化とOSAの関連について検討した研究はみられない。本研究の目的は、OSAおよび単純いびき症患者における項靱帯石灰化と頸椎骨棘形成の発現率を明確にし、これら骨過形成のOSA重症度に対する影響について検討することである。 平成26年度は、本学いびき外来を受診し、終夜睡眠ポリソムノグラフィ検査でOSAまたは単純いびき症と診断された患者を対象とし、側方頭部X線規格写真上で、項靱帯石灰化の長さ、および骨棘が形成された頸椎の数を調査した。その結果、項靱帯の石灰化はOSA患者の4割以上に認められ、一般的な発現率と比較し高い結果となった。また、男性群で女性群と比較し、発現率が高かった。 平成27年度は、被験者数を増やし、項靱帯の石灰化と頸椎の骨棘形成の発現頻度、および、それらの発現とOSA重症度(AHI)との関係について検討した。 被験者は、OSA患者と単純いびき症患者、80名(男性60名、女性20名)とした。側方頭部X線規格写真上で石灰化物および骨棘形成を観察した結果、項靱帯の石灰化は46.3%、頚椎の骨棘形成は32.5%のOSA患者に認められた。また、項靱帯の石灰化は、男性(51.7%)において、女性(30.0%)と比較し、高い頻度で認められた。 項靱帯の石灰化とAHIとの間に有意な正の相関が認められ、OSAと靭帯の石灰化の間に関連性があることが示唆された。OSA患者では、狭窄した気道を広げるため、代償性に頭位変化が生じる。この頭位変化による頸部への機械的ストレスが、項靭帯の石灰化に影響していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、本学いびき外来を受診し、終夜睡眠ポリソムノグラフィ検査でOSAまたは単純いびき症と診断された患者を対象とし、側方頭部X線規格写真上で、項靱帯石灰化の長さ、および骨棘が形成された頸椎の数を調査した。その結果、項靱帯の石灰化はOSA患者の4割以上に認められ、一般的な発現率と比較し高い結果となった。また、男性群で女性群と比較し、発現率が高かった。OSA患者における項靱帯石灰化と頸椎骨棘形成の発現率とこれまでに報告されているOSA患者以外の発現率との比較を行った。 平成27年度は、被験者数を増やし、項靱帯の石灰化と頸椎の骨棘形成の発現頻度、および、それらの発現とOSA重症度(AHI)との関係について検討した。その結果、項靱帯の石灰化とAHIとの間に有意な正の相関が認められ、OSAと靭帯の石灰化の間に関連性があることが示唆された。 今年度は研究計画に基づき、被験者数の増加を図り、項靱帯の石灰化・頸椎上の骨棘形成とOSA重症度との関係について検討まで実施した。以上より、進捗状況はおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、OSA患者では、狭窄した気道を広げるため、代償性に頭位変化が生じ、その機械的ストレスが、項靭帯の石灰化に影響していることが考えられた。しかし、OSA患者は合併症を有することが多く、機械的ストレス以外にも、それら合併症とも関連する因子(無機質代謝・脂質代謝等)の存在も否定できない。 そのため、平成28年度は、血液検査の結果と、項靱帯石灰化・頸椎骨棘形成の発現との関係を検討する。また、石灰化物の有無による持続陽圧呼吸療法(CPAP)または口腔内装置(OA)による治療の奏効率の違いについても検討する。
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Causes of Carryover |
差額が生じた理由として一つは,予定していた、平成27年度日本睡眠学会までにデータが揃わず、学会参加を見送ったため,旅費およびその他で使用する学会参加費などの経費が必要なくなったこと,論文投稿費が当初の予定より少なかったことから次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画は順調なためさらなる知見が得られる可能性があり,次年度に分担者を含め国内外において研究打ち合わせを行う.
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