2014 Fiscal Year Research-status Report
特発性拡張型心筋症における樹状細胞の心筋浸潤および成熟化の臨床的意義
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26461098
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
菅野 康夫 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (00317124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安斉 俊久 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (60232089)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 拡張型心筋症 / 免疫細胞 / 樹状細胞 / 心臓リモデリング / テネイシンC |
Outline of Annual Research Achievements |
当センターで診断したDCMデータベースを用い、2005年~2007年に右室心筋生検を行った連続108例で、免疫染色によるテネイシンC(TNC)発現を解析した。全体の心筋に対するTNC陽性面積をTNC領域(%)として算出し、TNC領域1.5%以上をTNC陽性群(n=25)、TNC領域1.5%未満をTNC陰性群(n = 83)とした。半年~1年半経過後の心エコー検査で、TNC陽性群は陰性群に比して左室拡張末期径、収縮末期径が有意に大きかった(p= 0.02、p= 0.048)。重回帰分析で糖尿病は独立してTNC領域と関連した(p = 0.03)。さらにTNC陽性群は陰性群に比して予後不良であった(p = 0.03)。 また、同組織に対し、免疫細胞マーカーであるCD3(T細胞)、CD68(M1マクロファージ)、CD163(M2マクロファージ)を染色し、単位面積あたりのカウントを行った。T細胞(41±55 vs. 19±11/mm³, p 以上より、DCMにおいて、心筋におけるTNC発現は左室リモデリングと予後に相関し、心筋内の炎症、とくにT細胞およびM1マクロファージの浸潤と関与するものと考えられた。M1マクロファージとM2マクロファージではTNC発現の程度に差があり、リモデリング過程におけるM1/M2 skewingが関与しているものと考えられた。 以上の知見は、2014米国心臓協会学術集会(AHA)および2015米国心臓学会(ACC)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床データの収集および心筋病理組織の染色は、目的となる細胞や組織に対しては概ね問題なく進んでいる。成熟樹状細胞のマーカーとして期待していたCD83に関しては、染色性が不良であった。
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Strategy for Future Research Activity |
CD83抗体は、条件を変えて免疫染色を試みたが、陽性細胞をほとんど確認できなかった。他にCD80やCD86の抗体を用いて成熟樹状細胞の染色を試みているが、困難なようであれば、MHC class IIに対する抗体を用いて染色することを検討中である。 また、DCMに対する前向き登録研究に関しては、現在、順調に進行中である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究は既存検体を用いた後ろ向き研究が中心であり、消耗品等への資金使用が想定よりも少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は前向き研究を行うため、組織標本への新たな抗体の使用や、RNA抽出キット、Q-PCRの試薬などの消耗品への支出が増加すると考えられ、資金の使用を計画している。また、海外学会への報告や、論文作成のための費用が必要となると想定している。
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