2015 Fiscal Year Research-status Report
特発性拡張型心筋症における樹状細胞の心筋浸潤および成熟化の臨床的意義
Project/Area Number |
26461098
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
菅野 康夫 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (00317124)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安斉 俊久 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (60232089)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 拡張型心筋症 / 炎症 / 免疫応答 / 細胞外マトリックス蛋白 / テネイシンC |
Outline of Annual Research Achievements |
「特発性拡張型心筋症における樹状細胞の心筋浸潤および成熟化の臨床的意義」の研究課題に関し、平成27年度、研究代表者らは当施設の拡張型心筋症データベースを用い、横断的後ろ向き解析を行った。その結果、まず、炎症細胞浸潤や樹状細胞と密接な関係があると考えられる細胞外マトリックス蛋白の一つ、テネイシンCの発現が心筋リモデリングおよび予後と密接な関わりを持つことを明らかにした。具体的には、心筋生検で得られた組織をテネイシンC抗体で染色し、全体における陽性面積を算出し予後解析を行った。ROC曲線を用いて規定された2.3%以上のテネイシンC高発現群では、低発現群と比較し、有意に予後が悪く、Coxハザードモデルを用いた解析では、テネイシンC高発現は死亡に関する独立した規定因子であった。さらに、9カ月後の心エコーで評価された左室リモデリングが増悪していることが判明した。また、糖尿病の存在が発現するテネイシンC領域の規定因子であることが明らかになり、糖尿病性心筋症の発症要因としてテネイシンCが挙げられる可能性が示唆された。テネイシンCは樹状細胞に端を発する免疫応答との関わりがあることが知られ、本研究の基礎的データとして重要な発見と考えられた。以上の報告はEuropean Journal of Heart Failure誌に掲載された(2016 Jan 13. doi: 10.1002/ejhf.464. [Epub ahead of print])。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
拡張型心筋症データベースを利用した横断的後ろ向き研究に関しては、海外雑誌の掲載もあり、概ね良好な進捗であったが、心臓MRIの解析が進んでいないなど問題も多い。一方、免疫組織染色と臨床データを用いた単施設前向き研究に関しては、現在38例の症例登録を行たが、目標の50例/年には至らず、やや進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、後ろ向き研究の継続を継続し、研究成果の報告を行う。また、免疫組織染色と臨床データを用いた単施設前向き研究は症例登録を増やし、大規模な解析を行う。可能であれば、他施設の協力も得、多施設研究を行い情報を蓄積し、新たな発見を目指す。
|
Causes of Carryover |
研究計画に遅延が生じており、本年度に予定していた切片の免疫染色や各種処理、ウィルスゲノムの定量検査などを次年度に行う必要があるため。また、学会発表や論文作成も同時にすすめており、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫組織染色用の抗体の購入、分子生物学的検査に要する試薬や、論文作成に際する諸費用等として使用する。
|