2016 Fiscal Year Research-status Report
特発性拡張型心筋症における樹状細胞の心筋浸潤および成熟化の臨床的意義
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26461098
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
菅野 康夫 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (00317124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安斉 俊久 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (60232089)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 拡張型心筋症 / 炎症 / 免疫応答 / 細胞外マトリックス蛋白 / テネイシンC / マクロファージ / 左室リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度、「特発性拡張型心筋症における樹状細胞の心筋浸潤および成熟化の臨床的意義」の研究課題に関し、研究代表者らは当施設の拡張型心筋症データベースおよび採取された心筋生検組織標本を用いて、横断的解析を行った。平成27年度にテネイシンC発現が拡張型心筋症の予後の規定因子となることを解明したが(Eur J Heart Fail. 18:375-85, 2016)、平成28年度はテネイシンC発現と強く関連する心筋への炎症細胞浸潤と、間質線維化や予後との関連について解析を進めた。 解析の結果、拡張型心筋症と診断された182症例の検討にて、心筋生検標本をTリンパ球(CD3)、M1(CD68)およびM2(CD163)マクロファージの特異的マーカーで染色した浸潤細胞数は、それぞれ死亡または心移植をエンドポイントとする長期予後の悪化と関連することを解明した。なかでもM2マクロファージはCox比例ハザード解析にて予後のに影響を与える因子であることを明らかにし、また間質線維化(Collagen Area Fraction)の独立した規定因子であることを発見した。同解析では樹状細胞と予後の直接的な関連を示すことはできなかったが、過去の検討でM2マクロファージと樹状細胞の相関が示されていることから、樹状細胞に端を発す抗原提示の亢進が一連の免疫応答と関連する可能性が考えられた。 以上の研究成果は海外および国内学会で発表(AHA 2016、日本循環器学会2017)し、さらにEuropean Journal of Heart Failure誌に掲載された(Eur J Heart Fail. 19:490-498, 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
拡張型心筋症データベースを用いた後ろ向き横断的解析は、複数本の海外雑誌掲載もあり、概ね良好な進捗であるが、心臓MRIを用いた解析が遅れているなど課題も多い。単施設前向き研究に関しては、現在70例の症例登録を行ったが、やや進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
MRIを用いた解析は現在進行中である。前向き研究に関しても引き続き症例登録を継続している。症例数を増やすため多施設研究での情報蓄積を行っている。 また、解析のための協力者の確保に努め、引き続き研究をすすめていく。
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Causes of Carryover |
平成29年度(次年度)は、心筋組織を用いた大規模な解析を予定している。同解析は試薬や検査に関連する支出が大きいことが予想され、そのため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析の試薬および人件費に使用額の多くを占める予定である。また、海外への学会発表や雑誌への掲載のため、旅費やその他(英文校正や別刷り等)の支出も予想される。
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