2014 Fiscal Year Research-status Report
境界型肺高血圧症における予後規定因子の同定と早期治療効果に関する検討
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26461107
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山田 典一 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60303731)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 循環器 / 肺高血圧症 / 薬物治療 / 運動負荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は、肺高血圧症を発症する可能性の高い、いわゆる高リスク例の抽出方法としての右心カテーテル留置下運動負荷試験の有効性の確立と、早期薬物治療開始の効果と安全性を明らかにすることである。 心臓超音波検査を用いたスクリーニング検査にて三尖弁逆流速度から推定した収縮期肺動脈圧より肺高血圧症が疑われた膠原病患者35例に対して右心カテーテル検査を施行し、安静時平均肺動脈圧25mmHg未満であった28例(平均年齢62.3±11.5歳、女性25例)に、さらにエルゴメーターを用いた運動負荷を行って血行動態各指標の変化を観察した。運動負荷により平均肺動脈圧が30mmHg以上に上昇した症例は24例であった。治療開始前安静時と運動負荷ピーク時の平均肺動脈圧(mmHg)は 16.8±4.3から38.9±7.7(p<0.05)と有意に増加した。また、体血管抵抗(dyne・sec・cm-5)は運動負荷により1594.7±411.6から1184.9±451.7へと有意に低下したのに対し(p<0.05)、全肺血管抵抗 (dyne・sec・cm-5) は272.3±83.4から349.0±144.7 (p<0.05) と有意に増加し、健康人と異なり、安静時肺高血圧を呈する以前の早期から肺血管内皮障害に伴う運動時の異常な反応性が示された。これまでに1年後の運動負荷時の反応性の変化が追跡できた症例が10例(治療群4例、無治療群6例)であり、両群ともに1年後の安静時の肺高血圧進展例はなかったものの、2群間比較において運動負荷による⊿MPAP、⊿MPAP/⊿COの変化に差を認めており、肺高血圧症発症前の境界領域例に対する早期治療介入が肺高血圧症進展抑制に有効である可能性が示唆する結果が得られている。今後、さらに症例数を増やし、仮説を検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本学に膠原病専門医がいないことが強く影響し本研究への新規登録患者数の増加が滞っていることが研究進行が遅れている大きな原因である。他病院からの紹介患者を中心に研究を進めているのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象患者の新規登録者数を増やす目的で、学内はもとより、県下の膠原病内科医や皮膚科医、開業医を対象とした肺高血圧症に関する病診連携、病病連携の検討会を開催し、本研究の重要性を認識いただく予定である。また、フォローアップの段階で脱落例をできるだけ少なくする努力も継続して行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度に購入予定であった右心カテーテル検査の圧波形の詳細な解析に必要となる解析機器を購入しなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、安静時ならびに運動負荷時の右心カテーテル検査の圧波形の詳細な解析を行っていく過程で必要となるため、機器購入時に使用する予定である。
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