2015 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病による心血管障害におけるROCKの役割:基礎から臨床へ
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26461110
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
野間 玄督 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (00379893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 幸仁 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40346490)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際情報交流 米国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、糖尿病、高血糖による細胞内ROCK活性の亢進が、eNOSのuncouplingを介して、どのように血管機能、臓器障害、動脈硬化の伸展に影響を及ぼすかを細胞実験、マウス実験、臨床研究を通じたトランスレーショナル研究によって検討するものである。
(1) これまでの検討では、高糖培養液によってeNOSの発現はわずかではあるが亢進しており、thrombin、LPA、LPSといった試薬刺激によるeNOS発現の低下とは異なることが判明した。しかしながら、全ての試薬刺激同様に、高糖培養液刺激によってもROCK活性(p-MBS/t-MBS)は亢進していた。高糖培養液によるROCK活性の亢進に伴ってeNOSのuncouplingは増加し、ROCK阻害薬の投与によってROCK活性およびeNOSのuncouplingは減少した。 (2) STZ投与による(1型糖尿病モデル)マウス大動脈、db/dbマウス(2型糖尿病モデル)大動脈におけるROCK活性とeNOSのuncouplingは亢進し、ROCK阻害薬の投与によって双方ともに軽減傾向を認めたが、現在もその実験は実行中である。 (3) 臨床研究においては、非糖尿病患者と比して、糖尿病患者において血管内皮機能の低下、ヒト白血球ROCK活性の亢進を認めたが、今後は介入試験などによる検討を施行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞実験を用いたin vitro実験は順調に進んでいたが、HPLCによる検討が成功と失敗の繰り返しであり、何度もリピート実験を繰り返す必要があるために、やや遅れ気味である。マウス研究も、糖尿病モデルが個体によって異なることも多く、また実験前にマウスが死亡してしまうことも少なくないために、やや遅れ気味である。
実験結果自体は、仮説と非常に相同性が高く、順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、 1) 内皮細胞を用いたin vitro実験を完成させるため、ROCK1およびROCK2ノックアウトマウスより培養した内皮細胞を用いて、高血糖によるROCK活性の亢進、ROCK活性を介したeNOS uncouplingの亢進のメカニズム解明に重点を置いて検討する予定である。 2) マウス研究においても、まずはSTZマウスとdb/dbマウスによる検討を完成させ、その後にROCK1およびROCK2ノックアウトマウスによる検討に取り組む予定である。 3) 臨床研究では、糖尿病患者において非糖尿病患者と比しての白血球ROCK活性、血管内皮機能を検討し、様々な介入試験(食事・運動・薬剤)を行う予定である。
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