2014 Fiscal Year Research-status Report
心筋におけるミトコンドリアDNA分解制御機構の解明とその心不全治療への応用
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26461129
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
彦惣 俊吾 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄付講座准教授 (30423164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 修 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90467580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
・DNase II活性低下の原因の解明:これまでのマウス心不全モデルでの検討においては、DNase II mRNAの発現の程度と活性に相関が認められたため、DNase IIの発現調節がDNase IIの活性に最も重要であると考え、これに焦点を当てて検討を行うこととした。まず、DNase II発現量の調節機構を解析できる実験系の構築をおこなうこととした。現時点では、どのような因子がDNase IIの発現調節に関与するか不明であるため、様々な可能性を考えて、DNase II発現調節に関わると考えられる因子を検出する実験系の構築を開始し、いくつかの候補に関して実験系の一部の構築をおこなった。 ・心筋特異的DNase IIトランスゲニックマウスの作製、解析:胎生期からDNase IIを発現するalphaMHC-DNase IIトランスゲニックマウスおよび 時期特異的心筋特異的にDNase IIを過剰発現するトランスゲニックマウスの発現コンストラクトを作製し、 これらのインジェクションをおこない、マウスを得た。マウスの繁殖は良好であり、現在、基礎状態における全身及び心臓の表現型の解析をおこなっているところである。 ・ヒトの心不全におけるDNase II活性低下の意義の解明:iPS細胞技術を用いて検討する方針であり、本年度はiPS細胞を作成するための手続きを進め、作製技術の導入ならびに心筋への誘導の検討をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究により、心不全におけるDNase II活性低下の原因の解明を開始し、キーとなる実験系の構築を進め、責任分子の同定に向けた準備が整った。また、心筋特異的DNase IIトランスゲニックマウスの作成については、胎生期から過剰発現するマウスとタモキシフェン誘導性に時期特異的に過剰発現するマウスの2系統の作成に成功し、それぞれの表現型の解析も開始した。さらに心不全患者由来の心筋細胞を用いた検討に向けて、iPS細胞を用いる実験系の構築を開始した。以上のように、本年度は、詳細な検討に向けたさまざまな実験系の構築を中心に行ない、そのほぼ全ての系の構築が成功しており、おおむね順調に進展していると言えると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も計画通り研究を進める予定である。 心不全におけるDNase II活性低下の原因の解明については、構築した実験系で責任分子の同定をおこない、その機能解析をin vivoレベルでおこなう。また、トランスゲニックマウスの解析を進め、DNase IIの心不全治療における役割を明確にする。ヒトの心不全におけるDNase II活性低下の意義の解明については、引き続きiPS細胞の作製系の改善を進めるとともに心筋分化への効率の向上を目指しつつ、様々な心不全の患者さんから疾患特異的iPS細胞を作製し、それ由来の心筋細胞を用いた解析をおこない、治療に繋がる化合物を同定する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は1395円と少額であり、今年度はほぼ全額使用できたものと考えている。。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費の一部として使用する方針である。
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