2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26461147
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
泉家 康宏 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (10515414)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 骨格筋 / 慢性腎臓病 / 分泌因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋肥大の腎疾患モデルに及ぼす影響の検討 われわれは骨格筋特異的Akt-1過剰発現マウス及び野生型マウスに対し,片側の尿管を結紮し尿細管障害・間質線維化を誘導する片側尿管結紮(UUO)モデルを作成し,腎障害の程度,炎症や間質線維化の程度を過剰発現マウスと野生型マウスで比較検討した。UUOによる腎臓の線維化、炎症、尿細管障害はAkt1トランスジェニックマウスで有意に減弱した。シスプラチンによる腎障害モデルにおいても、クレアチニンクリアランスの低下、尿素窒素値の上昇も骨格筋特異的Akt1トランスジェニックマウスで有意に減弱した。Akt1による骨格筋肥大が腎障害を減弱する機序として腎臓でのeNOSリン酸化の増強が関与していることを証明した。本研究によって得られた結果をJ Am Soc Nephrol.誌に報告した。 骨格筋由来腎保護因子のスクリーニング われわれはAkt-1過剰発現マウス骨格筋のサンプルを用いて骨格筋肥大に伴い分泌が亢進するタンパクのスクリーニングを行い、合計9つの候補遺伝子をリストアップしている。培養骨格筋細胞においてアデノウイルスを用いてAkt1を過剰発現し、候補遺伝子の細胞培地中への分泌も確認することができた。候補遺伝子骨格筋特異的ノックアウトマウスもすでに作成済みである。現在繁殖を行っており、実験に使用できる個体数が確保でき次第、UUOモデルを作成し、候補遺伝子の生体での腎保護作用について解析する予定としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実験計画に記載した骨格筋肥大の腎疾患モデルに及ぼす影響の検討に関しては、研究成果を2014年にJ Am Soc Nephrol.誌に報告している。また、骨格筋由来腎保護因子のスクリーニングに関しても、候補遺伝子のリストアップと、分泌能解析までは終了している。以上より研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、研究計画書に記載した通り9つの候補遺伝子の発現をタンパクレベルで検討し,ELISAシステムを確立するためペプチド抗体作製を行う.作製したペプチド抗体を使い,正常マウスの組織間での発現プロファイルを比較検討する.腎障害モデル作製後の候補分泌因子の発現の変化についても検討を行う.さらに骨格筋発育モデルとして他の筋肥大モデルマウスの骨格筋や,筋萎縮のモデルとして加齢,飢餓状態や慢性心不全モデルの骨格筋における候補遺伝子の発現の変化について検討する.さらにELISAシステムを確立し,それらの病態モデルにおける血中濃度の変化をモニタリングする予定である。
|
Causes of Carryover |
平成26年度の実験は、我々がこれまで継続して使用してきたマウスを用いてサンプルを収集することができ、解析も研究室においてルーチンで行っているものが中心となったため、計画時よりも予算は少額でカバーすることが可能であった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に抗体作成とELISA構築を行う予定としており、これらの行程は専門的技術が必要であるため、外部業者へ委託する予定としている。そのため本年度の繰り越し予算はそれらの予算に充てる予定としている。
|