2014 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症性呼吸器疾患におけるヘルパーT細胞と炎症性マクロファージのクロストーク
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26461178
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森島 祐子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10375511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 幸雄 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80272194)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | T-bet / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
CD2プロモーターによりT細胞特異的にT-betを高発現したB57BL/6マウス(T-bet-tgマウス)を実験に用いた。対照群としては同系の野生型マウスを使用した。 10、20、30、および50週齢の各時点で肺組織を採取したところ、T-bet-tgマウスでは加齢に伴い、気管支肺胞洗浄液は米のとぎ汁様の外観を呈し、肺組織では肺胞腔内に著明なTリンパ球浸潤およびPAS陽性・SP-A陽性の滲出物が認められ、ヒト肺胞蛋白症に類似した所見がみられるようになった。しかし、GM-CSFシグナリングの下流に存在するPU.1の発現がT-bet-tgマウスの肺胞マクロファージにおいて野生型と同等であったことから、この病態成立にはヒトで示唆されているGM-CSFシグナル伝達の異常とは異なったメカニズムが推察された。 T-bet-tgマウスにおいては、骨髄から末梢血への骨髄球の遊走が亢進し、気管支肺胞洗浄液中のマクロファージ分画の増加がみられたが、肺胞マクロファージ(Autofluorescence+/CD11c+)よりも炎症性マクロファージ(Autofluorescence+/F4/80low/CD11b+)、M2マクロファージよりもM1マクロファージの肺内集積が顕著であった。さらに同マウスのマクロファージは大型で泡沫状であり、蛍光ビーズ貪食能が低下していた。 次にB57BL/6系Rag2欠損マウスにT-bet-tgマウスと野生型マウスのリンパ球を移植すると、T-bet-tgリンパ球移植マウスに肺胞蛋白症を再構築できことが確認された。 以上より、T細胞におけるT-betの高発現が、単球・マクロファージの遊走、分化、活性化を制御する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記成果により、研究結果は下記学術誌に発表した。 T-cell-restricted T-bet overexpression induces aberrant hematopoiesis of myeloid cells and impairs function of macrophages in the lung. Blood 125:370-382, 2015.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、炎症性マクロファージの遊走・分化には肺のTh炎症フェノタイプの差異が重要であり、Th炎症フェノタイプの決定はそれぞれ特異的な転写因子で制御されることが示唆された。従って、次年度以降はさらに、喘息、肺線維症、抗酸菌症、サルコイドーシスの動物モデルあるいは、ヒト検体を用いてT細胞特異的転写因子、Th炎症フェノタイプ、炎症性マクロファージの動態、および細胞間の相互作用を詳細に解析したいと考えている。
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