2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症性呼吸器疾患におけるヘルパーT細胞と炎症性マクロファージのクロストーク
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26461178
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森島 祐子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10375511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 幸雄 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80272194)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Th1細胞 / Th17細胞 / T-bet / RORγt / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
喘息や肺線維症、肉芽腫性疾患などの多くの慢性呼吸器疾患では、リンパ球やマクロファージを主体とした炎症性病変がみられる。申請者らは、これまでにTh1細胞の分化誘導を制御する転写因子T-betを高発現するマウスにおいて、肺組織中のIFN-γ、TNF-αの亢進を伴うTh1タイプのリンパ球性肺炎症とM1マクロファージの肺内集積を認め、肺胞蛋白症に類似した肺病変を自然発症することを発見した。さらにTh2細胞の分化誘導を制御する転写因子GATA-3を高発現するマウスに抗原反復刺激すると、M2マクロファージ、fibrocytesの集積が認められ、Th2タイプの気道炎症とともに気道リモデリングが顕著に亢進することを見出した。これらの結果より、Thバランスが炎症性マクロファージの遊走や分化、炎症成立に関与する可能性を考えた。 本年度は非結核性抗酸菌症マウスモデルを作成し、肉芽腫性疾患におけるT細胞特異的転写因子の役割、Th炎症のフェノタイプ、炎症性マクロファージの動態を解析することで、その免疫学的病態を明らかにすることを目的とした。肉芽腫は異物に対する防御反応の1つで、その主な構成細胞はマクロファージであるが、Th1、Th17型免疫反応の関与が示唆されている。そこで、我々は、Th1、Th17細胞の分化誘導をそれぞれに制御する転写因子T-bet、RORγtの遺伝子改変マウスに抗酸菌を曝露し、検討した。T-bet欠損マウスでは、野生型マウスと比較し、肺組織での抗酸菌増殖や炎症が著しく、また感染後の死亡も高率であった。さらに同マウスの肺組織ではIFN-γは低下し、IL-17およびIL-6が増加していたことから、RORγt高発現マウスに抗酸菌を曝露したところ、肺炎症が増強していることが確認された。以上より、Th1/Th1細胞環境が抗酸菌感染症の病態を制御する宿主因子の一つであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討により、炎症性マクロファージの遊走・分化には肺のTh炎症フェノタイプの差異が重要であり、Th炎症フェノタイプの決定はそれぞれ特異的な転写因子で制御される可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの検討で得られた知見について、まだ詳細な病態は明確になっていない。次年度以降は、個々の免疫細胞の動態、役割に注目し、細胞間相互作用などを解析することで、Th肺炎症フェノタイプの差異が、骨髄由来細胞の遊走、分化、活性化を制御するメカニズムを細胞分子レベルで明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(2 results)