2015 Fiscal Year Research-status Report
ホスホリパーゼCεを介した急性肺障害の新規治療法の開発
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26461188
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 和幸 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50403275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 善博 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (20291453)
永野 達也 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80624684)
田村 大介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80646597)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PhospholipaseCepsilon / ARDS |
Outline of Annual Research Achievements |
PhospholipaseCepsilon (PLCepsilon)の野生型(WT)マウスおよびノックアウト(KO)マウスを使用して、LPS誘導性ARDSモデルにおけるPLCepsilonの役割について解析を行った。ARDSの表現型に関しては、WTで見られる湿乾重量比の増加、肺胞隔壁の肥厚や炎症細胞の浸潤はKOでは著明に抑制されていた。また、気管支肺胞洗浄液中の好中球の増加はWTに比較してKOで著明に産生が抑制されていた。そこで、マウスのLPS誘導性ARDSモデルから肺を取り出し、qRT-PCRで好中球の遊走、活性化に関与する炎症性サイトカインの発現を解析したところ、WTに比較してKOではCxcl1, 2, 5, 15などの炎症性サイトカインの発現が抑制されていた。WTとKOのマウスの肺から肺胞上皮細胞を単離、培養しin vitroでLPSで刺激したところ、これらのサイトカインはin vivoでの実験と同様に発現が抑制されていた。以上の事から、PLCepsilonはCXCケモカインの産生を介して、ARDSの病態に重要な役割を果たしていることを明らかにした。この研究結果から、PLCepsilonがARDSの重要な分子標的になる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LPS誘導性ARDSモデルの実験として計画していた①PLCepsilonの遺伝子型のARDSの表現型に与える影響の評価、②肺胞上皮細胞の初代培養、③肺胞上皮細胞からの炎症性サイトカインの産生に与えるPLCepsilonは、研究実績の概要に記載した通り終了しており、PLCepsilonの下流のシグナル経路の解析、PLCepsilonのトランスジェニック(TG)マウスでのARDSの表現型の解析を残すのみとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
PLCepsilonのKOマウスとWTマウスおよびトランスジェニック(TG)マウスの間でのLPS誘導性ARDSの表現型の差異を確認する。PLCepsilonが上皮系細胞からの炎症性サイトカインの産生を介して好中球性炎症の誘導に働いていると推測しており、PLCepsilonのTGマウスでは炎症反応の亢進による急性肺障害の増悪が観察できると予想される。そこで、表現型の差異をKaplan-Meier法にて評価する予定である。 続いてPLCepsilonが上皮系サイトカインの分泌を制御する機構について上皮間葉系細胞の初代培養を行い解析していく。 最後に、PLCepsilonのシグナル経路あるいは炎症性サイトカインを標的とした分子標的薬剤を用いて治療実験を行う。
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Causes of Carryover |
予定していたトランスジェニックマウスの実験が進まず、マウスの飼育費用に当てていた予算執行ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
トランスジェニックマウスの飼育費用に当てる予定
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