2014 Fiscal Year Research-status Report
劇症型急性肺炎の発症メカニズムの解明と治療ターゲット分子の探索
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26461190
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
長谷川 明洋 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80376376)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺炎 / 好中球 / 炎症 / 細胞イメージング / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、劇症型急性肺炎の治療ターゲット分子の発見、治療ターゲット分子としてのCD69の評価、バイオイメージング技術を駆使した急性炎症誘導機構の解明を目的として、今年度に以下の結果を得た。 1.肺炎症部位でのCD69分子の発現細胞の解析:マウスでの劇症型急性肺炎モデルとして、α-Galactosylceramideによる感作後にLPSを経鼻投与する系を用いた。野生型マウスでは激しい肺の炎症性変化とともに、2~3日で死に至った。野生型マウスで劇症型急性肺炎を誘導後、肺の炎症部位に浸潤している細胞上のCD69の発現レベルを調べたところ、好中球の他マクロファージやT細胞などあらゆる浸潤細胞においてCD69の発現レベルが大きく上昇していた。 2.サイトカイン、ケモカインの発現レベルの検討:肺組織全体および肺胞洗浄液中の浸潤細胞からmRNAを抽出し、炎症性サイトカインやケモカインの発現レベルを検討した。 3.抗体投与実験による新規治療ターゲット分子の探索:劇症型急性肺炎に対する新規治療ターゲット分子をみつけることを目的に抗体投与実験を行った。様々なサイトカインやケモカイン、細胞接着分子に対する抗体を投与し、治療効果を比較検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的を達成するために、研究実施計画に従って研究を遂行した。その結果、肺炎症部位でのCD69分子の発現解析により、浸潤炎症細胞のほとんどでCD69分子が高発現していることが明らかとなった。また、炎症の誘導にともない発現上昇するサイトカインやケモカインを同定できた。さらに抗体投与実験により劇症型急性肺炎を抑制できる新規治療ターゲット分子をいくつか同定できた。 今年度は当初予定していた研究をほぼ計画通りに遂行することができたことから、順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ本研究課題は当初の研究計画通りに進んでおり、次年度も研究実施計画に従って研究を推進していく予定である。具体的には、抗CD69抗体投与による劇症型急性肺炎の抑制機能を検討し、阻害必要量などの投与量に関する検討や効果的な投与時期について検討する。また、平成26年度の抗体投与実験により見つかった新しい治療ターゲット分子についても同様の検討を行う。さらにバイオイメージング技術を駆使した肺への炎症細胞浸潤様式の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
バイオイメージング技術を駆使した肺への細胞浸潤様式の解析研究に用いるノックアウトマウスの納入が供給元の都合により遅延したため、マウス購入費、飼育費および関連実験試薬購入費が当該年度中に未使用となったため。 尚、当初の研究計画でもノックアウトマウスの購入は当該年度末に計画されていたものであり、これまでのところ研究進捗におけるマウス供給遅延の影響はほとんどない。現時点で全体としての実験計画はおおむね順調に進展している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通りバイオイメージング技術を駆使した肺への細胞浸潤様式の解析研究に用いるノックアウトマウスの購入費、飼育費および関連実験試薬購入費に使用する予定である。
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