2016 Fiscal Year Research-status Report
小細胞肺癌におけるネスチンの臨床的意義および治療標的としての研究
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26461193
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
前野 健 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (10444952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 鉄也 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60363925)
小笹 裕晃 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80572015)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / ネスチン / 分子標的 |
Outline of Annual Research Achievements |
小細胞肺癌の病態形成におけるネスチンの重要性を基礎面および臨床面から明らかにし、新たな診療戦略の構築を目指して本研究を進めている。 抗癌剤耐性化は小細胞肺癌患者における生存期間短縮へ直結するため、その分子機序を明らかにすることは新たな治療戦略の構築へ貢献しうる。そこで前年度に小細胞肺癌細胞株DMS53およびそのネスチンノックダウン株をもちいて、化学療法のkey drugであるSN-38の感受性を比較したところ、ネスチンノックダウン株において感受性の改善を認めた。そこで本年度は、小細胞肺癌細胞株SK-LC-17にネスチンを過剰発現させた株を樹立したため、SN-38の感受性を比較したところ、過剰発現株において有意な感受性低下を認めた。以上により、ネスチンは抗癌剤耐性化に関わる分子であることが示唆されたため、今後は他のkey drugであるCDDPやETPの感受性についても検討を行う予定である。 小細胞肺癌の臨床検体におけるネスチン発現に関しては、免疫染色法による検討を行っている。本年度までに、名古屋市立大学病院の51症例の解析を行った。ネスチン発現陽性例は全体の41.2%を占めていたが、陽性群と陰性群との間で、年齢・性別・喫煙歴・進展型/限局型・血清ProGRP値などの患者背景に差を認めていない。抗癌剤治療の反応性に関しては進展型症例での検討を行っており、一次治療の反応性では両群間に差を認めていないが、二次治療ではネスチン陽性群において病勢制御率が有意に低下していた。この臨床的知見は、上述の細胞株を用いた検討と合致する所見と思われ興味深いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力者が平成27年度に転勤となり、当初見込んでいた研究協力が得られなくなったことが主な原因である。平成28年度末となり新たな研究協力者を加えることができたが、未だ遅れを十分に取り戻せていない状況である。 また京都大学病院からの臨床検体の提供が予想以上に遅れたことも原因の1つと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞実験に関しては、ネスチンの発現調整メカニズムの解明を最大目標として進めていきたいと考えている。 臨床検体については、京都大学病院の症例および名古屋市立大学の新規症例をあわせ約80例を追加解析する予定であり、合計130例程度の解析となる見込みであり、より堅実なデータを出すことが出来ると考えている。
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Causes of Carryover |
研究協力者が平成27年度に転勤となり、予定していた研究計画を進めることができなくなった。ゆえに細胞実験、動物実験、臨床検体解析のいずれにおいても実験進行に遅滞が生じたため、次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度末から新たな研究協力者を加えることができたため、研究計画を確実に遂行すべく実験を進めていく。またその研究成果を学会や論文で積極的に発表していく。
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