2014 Fiscal Year Research-status Report
ダニ抗原誘発気管支喘息におけるガレクチン9を用いた新規抗原特異的免疫療法の開発
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26461205
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
加藤 茂樹 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10295206)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / マウス / 舌下免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) ダニ抗原誘発マウスアトピー型慢性喘息モデルの作成 BALB/cマウスにダニ抗原を週2回あるいは週5回5週間、経気道的に投与し、ダニ抗原誘発マウスアトピー型慢性喘息モデルを作成した。気道炎症の評価として気管支肺胞洗浄液中(BALF)の炎症細胞数およびTh2サイトカインを測定した。生理機能検査として抗原チャレンジ後の即時型気道反応および24時間後の気道過敏性について検討した。また、抗原感作状態に関して血清中のダニ抗原特異的IgE抗体価を測定した。さらに肺組織標本を作成し、PAS染色を行い、気道粘液産生細胞を検討した。いずれのモデルでもBALF中の好酸球、IL-5、IL-13の増加、即時型気道反応および気道過敏性の亢進を認めた。さらに血清中のIgE抗体価の上昇および気管支周囲への好酸球の浸潤とPAS陽性の粘液細胞数の増加を認めた。いずれの所見も週2回よりも週5回のモデルの方が所見が強く、以後の研究には、週5回のダニ抗原誘発マウスアトピー型慢性喘息モデルを使用することに決定した。 (2) 抗原特異的舌下免疫療法モデルの確立 上記疾患モデルに対して抗原特異的免疫療法を行う。抗原の投与経路としては舌下投与を選択し、ダニアレルゲンエキスを1回10μl、1日2回、週5日、2週間舌下投与し、気道炎症および気道過敏性を測定した。抗原を用いた舌下免疫療法によりBALF中好酸球数、IL-5濃度および即時型反応は、有意に抑制された。一方、BALF中IL-13濃度、気道過敏性の亢進、および血清中のダニ抗原特異的IgE抗体価は減少傾向ではあったが、有意差は認められなかった。以上のことからダニ抗原による舌下免疫療法の効果は限定的であると考えられた。 今後は、より有効な舌下免疫療法の確立をめざして、抗原に加えてアジュバントを用いた新規舌下免疫療法を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の平成26年度の研究実施計画に従って研究を遂行してきたが、現時点においてダニ抗原誘発マウスアトピー型慢性喘息モデルの確立に成功した。さらに、この疾患モデルを使用して抗原を用いた舌下免疫療法モデルを作成した。予定通り研究は進行しているが、当初予想された通り抗原だけを用いた舌下免疫療法では、有効性に乏しく、今後は、アジュバントを併用した有効性の高い新規舌下免疫療法の開発に取り込む。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年からわが国においてもスギ花粉症に対して舌下免疫療法が開始されている。この舌下免疫療法の作用機序として制御性T細胞が重要な役割を果たしていることが報告されている。そこで、我々は、制御性T細胞の誘導に促進的に作用する生理活性物質の1つであるガレクチン9に着目し、抗原に加えてガレクチン9をアジュバントとして用いた舌下免疫療法の確立を試みる。
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Causes of Carryover |
実験補助員に対する人件費に関して、計画ではH26年6月から採用予定であったが、適任者が見つからず、実際には9月からの採用となったため人件費に当てる予定額が、次年度使用額として生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、H27年度交付額と合わせて人件費等に使用する。
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