2014 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサを用いた胸腺癌新規治療標的遺伝子の同定
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26461206
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
藤原 豊 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (70464261)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胸腺がん / がん遺伝子 / 遺伝子増幅 / 遺伝子変異 / 遺伝子融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺がんのホルマリン固定パラフィン包埋検体53 例のうち解析可能な質のゲノムDNAの得られた25例について、50個のがん関連遺伝子のTarget sequencing を行い、既知のがん関連遺伝子の異常の探索を行った。うち、18例については凍結組織のゲノムDNAも得られたことから、併せて解析を行った。主要な遺伝子変異としてTP53 (16%, 4/25), FBXW7 (8%, 2/25), KRAS (8%, 2/25)の変異が認められた。その他、ATM、EGFR、NRAS、STK11遺伝子の変異が1例(4%)で認められた。検出された遺伝子変異の中では、既存の分子標的薬の奏功性との関連が推察される変異は認められなかった。 凍結組織18例のうち十分量のゲノムDNAが得られた13例について次世代シークエンサーを用いた全エクソンシークエンス解析を行った。特に正常組織DNAが得られた7例について、集中的に解析を行った。その結果、これまでに胸腺がんでの変異が報告されているCYLD遺伝子に2例変異が認められた。その他にも、数十個の変異遺伝子を同定した。またRNAの得られた17例について全RNAシークエンス解析を行った。その結果、白血病や肺がん等で知られる既知の遺伝子融合や複数例にみられる遺伝子融合は存在しなかった。また、残余DNAの得られた10例について、DNAチップ解析による増幅遺伝子の探索に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定したTarget sequencing、全エクソンシークエンスや全RNAシークエンスが終了した。よって、進捗は順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後以下の解析を行う。 正常組織の得られなかった7検体や、少量のゲノムDNAの得られた4例について、プロトコルや解析プログラムを改良し、エクソーム解析からの変異遺伝子の同定を行い、複数例において共通に変異している遺伝子群の同定を行う。コピー数変化とRNAシークエンス遺伝子発現データを組み合わせ、遺伝子増幅に伴う高発現遺伝子の同定を行う。また、エピゲノム変化の解析に着手する。
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Causes of Carryover |
予定したTarget sequencing、全エクソンシークエンスや全RNAシークエンスが終了し、進捗は順調であるが、ゲノム解析のプロトコルやプログラムの改良が必要であり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
正常組織の得られなかった7検体や、少量のゲノムDNAの得られた4例について、プロトコルや解析プログラムを改良し、エクソーム解析からの変異遺伝子の同定を行い、複数例において共通に変異している遺伝子群の同定を行う。コピー数変化とRNAシークエンス遺伝子発現データを組み合わせ、遺伝子増幅に伴う高発現遺伝子の同定を行う。また、エピゲノム変化の解析に着手する。
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