2014 Fiscal Year Research-status Report
チロシン脱リン酸化系シグナル分子の遺伝子改変マウスを用いた腎炎発症機序の解明
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26461213
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
野島 美久 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90201699)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / Ship-1 / チロシン脱リン酸化酵素 / SIRP-α / 糸球体上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
樹状細胞のマーカーであるCD11c -CreのトランスジェニックマウスとSHP-1-loxPトランスジェニックマウスの掛け合わせで、樹状細胞特異的にSHP-1を欠失するマウスが樹立されている(Shp-1 cKO)。本マウスは、抗核抗体、抗DNA抗体が陽性であり、糸球体には免疫グロブリンの沈着が観察され、組織学的に管内増殖性腎炎の所見(ループス腎炎)が認められる(J Immunol 188:5397, 2012)。本マウスの脾細胞から抽出された樹状細胞は試験管内でインターフェロン-γの産生が亢進していることが明らかにされているが、近年SLEの病態で注目されている形質細胞様樹状細胞及びインターフェロンα系については十分に解析されていない。今年度の研究課題では、Shp-1 cKOマウスの解析により以下の点を明らかにした。①古典的樹状細胞(classical DC:cDC)とpDCが脾臓内で増加する、②T細胞のTh1タイプの分化が促進される、③LPSによりTNFαやIL-6などのサイトカイン産生が増強する、④加齢に伴い免疫グロブリンの沈着を伴う腎炎が発症する、⑤F4/80陽性のマクロファージとT細胞が腎臓内に浸潤する これらの結果により、自己免疫病態並びに腎炎発症におけるDCの重要性は示されつつあるが、Shp-1 cKOでは免疫応答の抑制に関わる制御性T細胞(Treg)が増加する事も判明しており、Shp-1 cKOで観察される免疫病態は複雑であり、依然として不明な点も多い。さらなる解析を続ける予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
樹状細胞特異的にShp-1を欠損するマウスの解析は進んでいるが、SIRP-αを上皮細胞特異的に欠損する遺伝子改変マウスの樹立のその解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Shp-1 cKOの解析に焦点を絞って進める。特に、近年SLE(全身性エリテマトーデス)においては、樹状細胞から分泌されるI型IFNにより賦活化される遺伝子の発現が強く認められるなど、SLEにおける病態形成にI型IFN が関与している事が強く示唆されている。従って本研究では、Shp-1 cKOから産生されるI型IFNなどのサイトカインに関して解析を進める。pDCは細菌に由来する特定の配列を有するDNA(ODN)によりTLR9が刺激されることにより、多量のIFNαを産生するので、Shp-1 cKOからpDCを単離してODNで刺激することにより産生されるIFNαを測定する。また、一部の古典的DCはウィルスの核酸代謝物のアナログであるPoly (I:C)によりTLR3が刺激されることによりI型IFNを産生するが、本研究ではPoly (I:C)をShp-1 cKOに投与しI型IFNの産生を確認する。また、Poly (I:C)はI型IFN以外のTFNα、IL-6などのサイトカインの産生も誘導するのでこれらもあわせて測定する。さらに、Poly (I:C)の投与により活性化するNK細胞やT細胞に関しても検討を行う。
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Research Products
(1 results)