2015 Fiscal Year Research-status Report
チロシン脱リン酸化系シグナル分子の遺伝子改変マウスを用いた腎炎発症機序の解明
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26461213
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
野島 美久 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90201699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂入 徹 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20455976)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / SHP-1 / チロシン脱リン酸化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、樹状細胞特異的に非受容体型チロシンキナーゼSHP-1を欠損するマウス(SHP-1-CKO)を解析した。本マウスでは、血中に抗核抗体や抗dsDNA抗体が検出され、糸球体には免疫グロブリンや補体の沈着が認められることから、自己寛容の破綻に基づく全身性エリテマトーデス様病態が引き起こされていることが推察されていた(J Immunol 188:5397, 2012)。しかしその後の解析により、糸球体に沈着する免疫グロブリンや補体はメサンギウム領域に限局して基底膜への沈着はほとんど認めず、係蹄壁の構造変化や蛋白尿も出現しないことが明らかにされた。逆に、尿細管間質に著明な単核球の細胞浸潤を認め、40週令以降には多尿と尿中へのナトリウム喪失が出現することから、自己免疫性の尿細管間質性腎炎を起こすモデルであることが明らかにされた。現在、本モデル動物において、尿細管間質に浸潤する細胞とサイトカン産生について、免疫組織学的手法並びにフローサイトメトリー法を用いて解析を進めているところである。現在までに得られた結果から、間質に浸潤する細胞の主体はCD11b+、F4/80+のマクロファージ系の細胞であり、Th1型の免疫応答が作動していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状細胞特異的SHP-1欠損マウスの解析が進み、免疫学会などで発表を行った。SIRP-aを上皮細胞特異的に欠損する遺伝子改変マウスの樹立については遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度もSHP-1-CKOマウスの解析に焦点を絞って進める。全身性エリテマトーデスでは免疫複合体型の糸球体腎炎を発症するが、同時に尿細管間質障害も高頻度に伴い、腎予後には間質障害の程度がより関係するとの成績もある。しかし、一般にはループスの尿細管間質障害は糸球体障害による二次的変化と捉えられ、そのメカニズムも十分には明らかにされてこなかった。これまでの解析では、本モデルの間質に浸潤する細胞は、CD11b+、F4/80+のマクロファージ系の細胞である。近年、腎臓局所には血中の単球とは発生学的に異なる組織常在マクロファージの存在が明らかにされており、局所における炎症や組織修復への関与が注目されている。本モデルは自己寛容の破綻に基づく尿細管間質腎炎モデルであり、腎局所でこれらのマクロファージが免疫応答と組織障害にどのように関与しているのか、今後解明していく予定である。
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Research Products
(1 results)