2015 Fiscal Year Research-status Report
ポドサイトの転写因子Tcf21の機能解析を通じた慢性腎臓病の機序解明
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26461214
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
前澤 善朗 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80436443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹本 稔 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60447307)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポドサイト / 尿蛋白 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今までのところ、全身においてTcf21を成熟個体において欠損するマウスを作製し表現型を観察したが、各臓器の重量に変化はなく、成熟個体は健康で顕著な表現型は見られなかった。一方、PodocinrtTA/TetOCre/Tcf21 floxed マウスを作製し、腎糸球体が分化した後にドキシサイクリンを用いてCreを誘導し、糸球体ポドサイト特異的にTcf21をKOした。出生後直後にTcf21を欠損させたところ、マウスはアルブミン尿の有意な増加を示し、組織学的には一部の糸球体で部分的な糸球体硬化と、メサンギウム領域の拡大を示していた。一方で、生後3週を経てからドキシサイクリンを用いてTcf21を欠損させても、尿蛋白は見られない事がわかり、Tcf21はポドサイトにおいては発生分化に重要であるが一度糸球体が生成されるとあまり重要ではないと推察された。さらに、これらのマウスにSTZを用いて6週齢から糖尿病を惹起したところ、preliminary な結果では、糖尿病惹起後15-18週齢での解析で、Mutant群において尿蛋白が増悪する傾向が認められた。マウス屠殺時のデータでは糖尿病を有するポドサイト特異的Tcf21 KOマウスの腎は表面粗造で萎縮しており、現在組織学的検討を行っている。以上より、Tcf21は発生時に最も重要で、ポドサイトが成熟するとその重要性は減弱するが、疾患状態において再度、糸球体の構造と機能の維持に重要な役割を果たすと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テトラサイクリン誘導性ポドサイト特異的Tcf21KOマウスの確立に成功した。現在糖尿病性腎症モデルを作製し経過観察中であるが、Tcf21 KOマウスにおいては尿蛋白の増悪傾向が認められ、今まで得られたデータに矛盾しない結果となっている。今後組織学的解析並びに遺伝子発現解析に進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は分子生物学的な機序解明のため、ポドサイト培養系を用いてChIPアッセイを行ないダイレクトなターゲット分子の探索をおこなう。また、培養ポドサイトにCRISPRシステムを用いてTcf21のノックアウトを行ない、細胞の表現型の観察(形態、遊走、アポトーシスの評価)を行う。
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Research Products
(8 results)