2015 Fiscal Year Research-status Report
糸球体足細胞傷害におけるギャップ結合タンパクconnexin43の役割
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26461219
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
姚 建 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (50303128)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コネキシン43 / ギャップ結合 / 細胞間接着 / 酸化ストレス / P38 / 上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度の研究結果から、コネキシン43(Cx43)が酸化ストレスによる足細胞の細胞傷害に深く関わることが明らかとなった。しかし、コネキシン43の分子メカニスムを介しての足細胞への影響は未だ不明である。体内では、糸球体足細胞が機能的なギャップ結合を形成できないため、我々はCx43ヘミチャネルを中心として細胞構造及び機能に対する影響を検討した。得られた結果は以下の通りである。 1.低カルシウム濃度で培養すると、培養腎上皮細胞の細胞間接着は緩み、細胞間の接着分子であるcadherinが接着部位より消失した。バリア機能も低下した。これらの変化はヘミチャネルの活性化を伴っており、ヘミチャネルを介した細胞外ATP放出及び蛍光色素の取り込みが増加した。 2.ヘミチャネルを阻害することで、低カルシウムによる細胞間接着の破綻は軽減した。ヘミチャネルが細胞間接着を調節していることが明らかになった。 3.低カルシウム濃度による細胞間接着の破綻は、酸化ストレス及びP38活性化と深く関わっていることが明らかになった。抗酸化物質GSH及びP38ブロックを投与することで、細胞間接着の破壊は抑えられた。 4.ヘミチャネルが開放することで、抗酸化物質であるGSHの細胞外への流出を引き起こし、結果としてP38の活性化に繋がった。 以上、Cx43ヘミチャネル活性化することで、上皮細胞の細胞間接着及びバリア機能を調節していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通りに進んでいる。今までの研究結果から、Cx43構成チャネルは、上皮細胞の細胞間接着、バリア機能及び細胞障害を調節していることを明らかにした。このことにより、コネキシン43 のレベルを調節することで、体内の糸球体傷害に よる蛋白尿の形成への影響を検討することに繋がる根拠が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は: 1)体内足細胞障害モデルにけるCx43の役割の解明。 種々のギャップ結合阻害剤、コネキシン43 siRNA及び変異コネキシン発現によりギャップ結合の機能を変化させ 、薬物による足細胞の傷害機構を解析する。具体的には、細胞粘着、細胞cytoskeleton, 細胞、細胞表面マー カーの変化を検討する。 2)コネキシン43をターゲットにした足細胞傷害の治療。副作用が少なく、経済的で、投与しやすい臨床応用 可能なコネキシンの調節薬物及び方法を探索する。コネキシン43をターゲットにした足細胞傷害への効果を検討 する。 3)足細胞傷害におけるコネキシン43の役割について、得られた研究成果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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