2014 Fiscal Year Research-status Report
IRS1/インスリンシグナルによるポドサイト障害修復メカニズムの解明
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26461230
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
美馬 晶 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (00432401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / ポドサイトアポトーシス / インスリンシグナル / IRS1 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずin vitroにおいて培養ポドサイトを用いた検討を行った。ポドサイトにおけるインスリンシグナルを抗アポトーシス効果を持ち合わせるリン酸化Aktの発現変化で確認した。低グルコース濃度(5.6mM)におけるリン酸化Aktの発現はインスリン(10nM)により4.5±0.7倍に増加した。一方、高グルコース濃度(20mM)におけるリン酸化Aktは低グルコース濃度における時に比べ、7.8%減少した。我々のグループは既にインクレチン関連薬による糖尿病性腎症に対する腎保護作用を明らかにしているが、Dipeptidyl Peptidase(DPP)-4阻害剤によるポドサイトアポトーシスへの影響についても検討を行った。低グルコース濃度(5.6mM)におけるリン酸化Aktの発現はDPP-4阻害剤(50nM)により1.6±0.8倍に増加した。また、前述の高グルコース濃度条件において抑制されるインスリン刺激下でのリン酸化AktはDPP-4阻害剤(50nM)投与により131±28%回復した。これらのことから培養ポドサイトにおけるインスリンシグナルがもたらす抗アポトーシス効果は高グルコースにより抑制されるが、インクレチン関連薬であるDPP-4阻害剤により抗アポトーシス効果が回復することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養ポドサイトを用いた高血糖状態におけるアポトーシスのアッセイが安定していないことと、ポドサイト特異的IRS1ノックアウトマウスの確立できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
ポドサイト特異的IRS1ノックアウトマウスを確立するとともに、in vitroの実験を継続する。すなわち、予備実験では高血糖によるポドサイトアポトーシスはIRS1のチロシンリン酸化が阻害され、その下流における抗アポトーシス効果を持つAKtのリン酸化が阻害されることが原因であると考えている。すでに我々のグループはprotein tyrosine phosphataseの一種であるSHP-1が高血糖条件下で賦活化され、VEGFレセプターのチロシンリン酸化を阻害することで抗アポトーシス効果が減弱することを示しているが、このメカニズムがIRS1においても認められるかを検討する。さらに、SHP-1を阻害する物質をhigh throughput output screening法を用いて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品(交代)の購入の検討を行っていたが、国内在庫が枯渇しており当該年度内での購入が困難であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額として計上し、実験遂行に必要な消耗品の購入に充てる予定である。より計画的に使用する。
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Research Products
(3 results)