2016 Fiscal Year Annual Research Report
The role of nitric oxide derived from xanthine oxidoreductase in renal vascular system
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26461232
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大坪 俊夫 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30423974)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 虚血再灌流障害 / キサンチン酸化還元酵素 / 活性酸素 / 一酸化窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血再灌流(IR)障害は、ショック、梗塞、移植など様々な病態に関与し、病因としてキサンチン酸化還元酵素 (XOR) 由来の活性酸素の関与が報告されている。我々は、XOR遺伝子改変 (XOR+/+、XOR+/-) マウスを用いて、XORの腎虚血再灌流障害における役割を検討した。腎虚血再灌流マウスでは、著明な血液中のBUN, Cr、酸化ストレスマーカーの増加を認め、組織学的には腎臓の皮髄境界並びに皮質の尿細管を中心に障害を認めた。XOR+/-IRマウスとアロプリノール投与XOR+/+IRマウスは、XOR+/+IRマウスに比べ腎障害が軽減した。eNOS遺伝子の発現が、シャム治療群に比べ虚血再灌流群で有意な低下を認めた。亜硝酸を虚血開始前に投与すると、虚血再灌流による腎障害は軽減した。腎虚血再灌流においてXORは、活性酸素を産生し臓器障害に関与していた。また、亜硝酸の前投与は、腎虚血再灌流障害を軽減する可能性が示唆された。 ヒト尿細管(HK-2)培養細胞を用いた低酸素再酸素化モデルにおける検討では、XOR mRNAの発現に大きな変化は認めなかったが、ヒト血管内皮(HUVEC)培養細胞を用いた検討では、低酸素再酸素化によりXOR遺伝子発現およびXOR活性は増加した。腎虚血再灌流障害においては、内皮細胞内でXORの発現が亢進し、活性酸素が産生され内皮障害を引き起こすことが、腎障害の一因と考えられた。 XOR/ApoE, XOR/eNOSの遺伝子ダブル欠損マウスに関して、寿命への影響を検討した。XOR/ApoEマウスの寿命に関しては、XOR遺伝子、ApoE遺伝子の組み合わせによる寿命への影響は認めなかった。一方、XOR/eNOSマウスの寿命に関しては、XOR遺伝子、eNOS遺伝子の組み合わせにより寿命に有意な差を認め、XORとeNOSの相互作用が、寿命に影響を与える可能性が示唆された。
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