2015 Fiscal Year Research-status Report
NPHP嚢胞腎発生における細胞極性と細胞骨格の関与~ヒト嚢胞腎の上皮細胞株樹立
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26461245
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
杉山 紀之 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90381954)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 嚢胞腎 / 細胞株 / 急性腎障害 / 腎輝度 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)嚢胞腎上皮細胞株樹立のパイロット実験になる嚢胞腎マウスからの嚢胞腎上皮細胞株樹立の試み:嚢胞腎を呈するマウスが入手できず、作製準備を行ってきた。嚢胞腎の責任遺伝子の一つであるinvに結合する因子の探索をtwo-hybrid法にて行っており、候補因子の絞り込みの最中である。inv因子としてはDvl結合ドメイン、IQドメイン、NPHP3結合ドメインを含んだC末端側数種とANKドメインのN末端側数種類をベイトとして用いている。 2)ヒト嚢胞腎上皮細胞株樹立の試み:嚢胞腎患者からの試料を得られなかったので、腎症の細胞を入手して検討した。成人からの細胞であるためか上皮細胞の定着率が非常に悪く、細胞分散法および培養皿のコーティングなどの検討が必要であった。また、定着した上皮細胞も立方上皮の形態が崩れており、機能的な細胞株として評価できない結果であった。そこで、その検討法として1年令マウスの腎臓小片からの細胞株樹立を行っている。 3)尿細管上皮細胞での線毛機能の解析につなげるために虚血再還流による急性腎障害モデルマウスの解析:嚢胞腎発生において線毛の機能破綻が原因であるが、まだ線毛機能は明らかではない。すでに虚血再還流による急性腎障害モデルマウスにおいて、障害後に線毛の長さが変化することを確認している。しかしながら、そのモデルにおいて炎症、障害のピークがいつであるのか組織学的にしかわからず、リアルタイムでの障害程度の継時的観察を行うことはできていなかった。そこで超音波測定器を使って障害をリアルタイムに追跡できるか検討した。その結果、障害後非常に早い時期から腎輝度の変化として障害が確認できることを見出した。線毛機能、嚢胞腎発症機序の解析にむけてリアルタイムに追跡できる方法としての可能性を示唆することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
嚢胞腎上皮細胞の樹立方法を検討するための嚢胞腎マウスが諸事情で入手することができず、直接嚢胞腎の尿細管上皮細胞の培養条件の検討ができていない。マウス導入はMTAは締結したが、先方の理由によりマウス導入には至っていない。他の系統あるいは所持機関とも交渉し、同様にMTA締結は行ったが先方の理由により導入できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っているinv結合因子の探索での候補因子1種類とinvの合計2種類のノックアウトマウスを作製予定である。できるだけ早い段階で因子確定と遺伝子改変領域の決定を行う。また、通常のノックアウトマウス作製法では時間がかかりすぎるので、CRISPR/Cas法によるゲノム編集技術を用いて単純なノックアウトマウス作製をできるだけ早い段階で検討する。 また、急性腎障害モデルにおける線毛解析を優先的に行い、障害時における線毛の動態を明らかにする。
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Causes of Carryover |
端数が揃わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の使用額の端数については、次年度研究費と合わせて研究計画に必要となる消耗品(分子生物学的手法のキット類)の購入に使用する。
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