2014 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を目指した高血圧症に対するワクチンの開発研究
Project/Area Number |
26461250
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
郡山 弘 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 寄附講座助教 (60710093)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ワクチン / アンジオテンシンII / 高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)アンジオテンシンII DNAワクチンの長期的な安全性・有効性の評価 アンジオテンシンII DNAワクチンをSHRに投与し、無投与群と共に長期観察を行った。一部の個体は投与半年後に解剖し、心臓、腎臓等の組織解析を行った。その結果、ワクチン群で血中アンジオテンシンII濃度の低下や、大動脈中膜肥厚の軽減傾向などが認められた。またワクチン群のHE染色で肝臓や腎臓に病理学的所見を認めなかった。これらの結果からアンジオテンシンII DNAワクチンの投与は長期的な影響として、免疫反応による有害な作用が認められないこと、降圧に伴う臓器保護効果が認められることが明らかとなった。 2)抗体価上昇のメカニズムの基礎的検討 DNAワクチンはペプチドワクチンよりも効果の持続期間が長い傾向がある。この違いを詳細に検討するため、単回投与における抗体価の強さおよび持続期間を評価した。SHRにHBc-AngII DNAワクチン0.5, 1.0, 2.0 mg/ml、あるいはAngII-KLHペプチドワクチン1.0, 5.0, 20.0 microg/mlを単回投与し、経時的に2週間ごとに採血を行い、ELISAにて抗体価を測定した。その結果両ワクチンの濃度依存性が確認でき、至適用量を決定した。またこの検討の過程で27年度に予定していた、免疫調節作用をもつ化合物の抗体価増強作用の解析を行い、著明な抗体価の上昇が得られる方法を見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンジオテンシンII DNAワクチンの長期的な安全性および有効性を示すデータが得られた。またDNAワクチンとペプチドワクチンの抗体価上昇のメカニズムの検討を開始した。この検討の過程でより抗体価を増強する方法を見出した。以上よりおおむね順調に進展していると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
アンジオテンシンII DNAワクチンの有効性及び安全性を確認した。またDNAワクチンにある化合物を添加することで、抗体価が著明に増強することを見出した。これを仮に併用ワクチンと呼ぶ。 この併用ワクチンを臨床応用するためには、均質に大量生産でき安定な製剤であることが望まれる。核酸(プラスミドDNA)は化学的に比較的均質であり合成法・精製法も確立している。しかしもう一方の化合物は化学的性質が異なるため、製剤の最適化が必要である。そこでこの化合物についていくつかの条件を振った製剤を作製し、安定性およびワクチンとしての有効性(産生される抗体価の強さ)を比較して、適切な製剤を選択するための基礎的データを取得する。 またこの併用ワクチンにおいて抗体価が増強する機序については未だ不明な点が多い。そこでワクチン初回投与時の自然免疫系の活性化状況の差異について解析するとともに、併用ワクチンの有効性について、SHRや食塩感受性ダールラットを利用して、降圧効果や臓器保護効果等についてさらに詳細に検討する。
|
Research Products
(5 results)