2015 Fiscal Year Research-status Report
次世代シーケンサーを用いた封入体筋炎筋発現プロファイルによる炎症と変性の病態解明
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26461265
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
後藤 順 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (10211252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 潤 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40260492)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 炎症性筋疾患 / 封入体筋炎 / 縁どり空胞変性 / RNA-seq / 発現プロファイリング / レーザーマイクロダイセクション |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性炎症性筋疾患(MII)、筋炎には臨床および筋病理学的に、皮膚筋炎(DM)、多発筋炎(PM)、封入体筋炎(IBM)などそれぞれ特徴を有するサブグループが存在する。これらのうちで、封入体筋炎は慢性進行性で、筋病理学的には骨格筋の炎症および縁どり空胞変性を呈し、有効で確実な治療法が確立していない難治性の疾患である。筋病理から示唆されるように、封入体筋炎には炎症と変性過程とが同時に存在し、それらの関係を解明することは、病態理解、さらに治療法開発への端緒を見出すのに有用である。本研究では、次世代シークエンサーおよびレーザーマイクロダイセクションによる封入体筋炎生検骨格筋の網羅的発現プロファイリングによる解析を行い、病態解明を目指している。本研究費とゲノム支援によって、平成26年度、27年度合わせて、60検体の解析を修了した。内訳は、封入体筋炎33、中間群11、多発筋炎17である。検体あたりの短鎖長配列リード数は平均107メガリード(66.4-161.8メガリード)、参照配列への貼り付けでは、平均76%が貼り付けられた(TopHat2)。予備的ではあるが、クラスター分析にて封入体筋炎は独立したクラスターをなし、多発筋炎の一部、のこりの多発筋炎中間群とが独立したクラスターを形成し、病理学的分類と発現プロファイルによるクラスターとの対応を示唆された。マイクロダイセクターによる筋線維ごとの分析については、予備実験を行い、解析系の確立を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨格筋生検標本のRNA-seqによる網羅的発現プロファイルリング解析は順調行えている。マイクロダイセクションによる筋線維ごとの解析は、行えていないが、予備実験に着手し、解析系の確立を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究費予算で、解析可能な追加検体の網羅的解析、マイクロダイセクションによる筋線維ごとの発現プロファイル解析法の確立と解析を実施する。データ解析を進め、病態のキーとなる分子ないし経路の同定、分子マーカーを同定し、それらの確認実験を進める。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究の物品費として100万円を計上したが、実際に必要とした額は949,325円でおさまり、50,675円の残が生じた。誤差の範囲と考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度80万円(内72万円物品費、8万円旅費)とあわせ、物品費として本研究の実験に有効に使用する計画である。
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