2016 Fiscal Year Annual Research Report
The examination of AD pathology from the perspective of the astrocyte-neuron interaction: the participation of IGFBP-3 released by astrocytes.
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26461270
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植村 健吾 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師、客員研究員 (00378663)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経分子病態学 / 認知症 / 脳、神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病において、アミロイドの産生、蓄積は、発症の20年近く前から始まっていることが知られている。しかしながら、アミロイドの産生がアルツハイマー病における神経変性、タウリン酸化を引き起こすメカニズムはいまだ明らかになっていない。我々はグリア細胞、特にアストロサイトに着目して、このメカニズムを解明することを本研究課題とした。 アミロイドペプチドをアストロサイトに作用させることによって、放出される分子が、神経細胞に作用することで神経変性が引き起こされるという仮説のもとに、サイトカインアレイを用いて、アミロイド処置後に培地中にアストロサイトから放出される分子を網羅的に解析した。結果、IGFBPという分子が増加することを見出した。興味深いことにIGFBP陽性のアストロサイトはアルツハイマー病剖検脳にて老人斑周囲に多数みられ、病態との関与が示唆された。アミロイドで処置されたアストロサイトでは、カルシウム流入を介して、カルシニューリンの活性化が起こり、その結果IGFBPの放出が起こること、さらにIGFBPは成長因子であるIGFと結合し、その活性を阻害することが知られているが、脳内においてはIGFが神経細胞におけるタウのリン酸化を抑制し、IGFBPは促進する働きがあることを培養細胞系にて示した。これらの実験結果は、アミロイドの影響が直接神経細胞に働きかける神経毒性だけではなく、グリア細胞を介したメカニズムでも神経変性を引き起こしうることを示したものであり、治療のターゲットとしてアストロサイトも念頭に置く必要があると考えられた。
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