2014 Fiscal Year Research-status Report
海馬自発てんかんモデルにおけるコネキシンを標的とした病態の解明と新規治療法の開発
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26461273
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鎌田 崇嗣 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70614460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 敬一郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00467903)
山口 浩雄 九州大学, 大学病院, 助教 (00701830)
重藤 寛史 九州大学, 大学病院, 講師 (50335965)
真崎 勝久 九州大学, 大学病院, 助教 (90612903)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | てんかん / 動物モデル / 皮質異形成 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
自発海馬てんかんを有する皮質異形成モデルラットの作製。胎生18日目 (E18)、母ラットから子宮を取り出し子宮壁外から胎児頭蓋に冷却プローブで頭蓋の左右両側に冷却損傷を加え、再び腹腔内に戻した上で出生させ、皮質異形成を前頭葉に作成した。自発てんかん発作出現の時期が生後6~7週目以降であるという以前の観察結果に基づいて、生後2週、3週、5週、7週、10週まで飼育した後、麻酔下で解剖し、脳標本を作製した。4%PFAにて組織を潅流固定後、脳標本を用いて、各段階(生後2, 3, 5, 7, 10週)における海馬でのTLR4とIL-1R1、神経細胞/軸索・オリゴデンドロサイト・アストロサイト間の細胞間情報伝達に関わるコネキシン群タンパク(Cx32, 43)の発現変化を免疫組織化学的(特異抗体を用いた酸素抗体法)で解析中である。 また、マウスで自発てんかん測定の有無等を解析するために、マウスでの自発てんかんモデルに対して、頭部電極装着させ脳波測定を行った。マウスでも海馬からの自発性てんかん性放電を確認した。 また、皮質異形成のマウスの自発てんかん発症前、発症後のCxの脱落をさせることで異常な神経ネットワークの形成をシャットダウンさせ、これがてんかん原性の獲得に及ぼす影響を評価するためにCx遺伝子のコンディショナルノックアウトマウスを作製した。今回はCx43遺伝子を標的として、Cx flfとCx flf:GFAR-CreERのマウスを交配させた。出生後ジェノタイプを確認しCx flf:GFAR-CreERのマウスに対して、タモキシフェンを5日間投与して標的とするアストロサイトのCx43を脱落させた。その後、Cx43が実際脱落していることを免疫組織化学的(特異抗体を用いた酸素抗体法)でコントロールと比較して確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免役組織化学的解析による自発てんかんを有する皮質異形成モデルラットの海馬のTLR4とIL-1R1、各種コネキシン群タンパクの発現変化の解析はまだ終了していないが、マウスモデルにおいても頭部電極を装着して、脳波測定を行い自発てんかん性放電が確認できた。また、今回はCx43遺伝子を標的としたコンディショナルノックアウトマウスを作製し、出生後タモキシフェンを5日間投与して標的とするアストロサイトのCx43を実際に脱落させることができることを免疫組織化学的(特異抗体を用いた酸素抗体法)でコントロールと比較して確認した。これにより自発てんかんを有する皮質異形成マウスモデルにて、生後異常な神経ネットワークの形成をシャットダウンさせ、これがてんかん原性の獲得に及ぼす影響を評価する実験を行う準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
免役組織化学的解析による自発てんかんを有する皮質異形成モデルラットの海馬のTLR4とIL-1R1、各種コネキシン群タンパクの発現変化の解析を継続して、最終的に各蛋白の発現遺伝子の定量化をリアルタイムPCR法にて行う。 また、今回作製されたCx43遺伝子を標的としたコンディショナルノックアウトマウスを使用して、胎生期に凍結損傷を頭蓋に与え、自発てんかんを有する皮質異形成マウスモデルを作製。生後2週間目でタモキシフェンを5日間投与して標的とするアストロサイトのCx43を脱落させる。生後4週間目に頭部に脳波測定用の記録電極を設置、生後5週目より脳波測定を開始し、生後11週目まで継続して自発てんかん発症の有無,発症時期,発作の頻度を解析する。また、てんかんを発症する5~6週以後の生後7週目においてタモキシフェンの投与を行い、同様の解析を行う。
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Causes of Carryover |
今回の研究は、平成23-25年度科研費「側頭葉てんかん・海馬硬化と局所皮質異形成との関連性の解析」研究代表者・高瀬敬一郎にて作製に成功した自発てんかん発作を有する皮質異形成ラットモデルでの前研究を引き継いだものである。そのため、前研究で使用していた実験器具、脳波測定のための記録用電極などの部品を引き続き使用することができ、また残っていた試薬などの消耗品も利用できたため、使用する物品費が当初の予定より抑えられた。 また、今回作製されたCx43遺伝子を標的としたコンディショナルノックアウトマウスは、研究分担者が研究代表者として実施している別の科研費の研究課題でも使用するために作製されたものであり、そちらからも作製費用が充てられている。そのため、当科研費からの経費が当初の予定より少なく抑えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免役組織化学的解析による自発てんかんを有する皮質異形成モデルラットの海馬のTLR4とIL-1R1、各種コネキシン群タンパクの発現変化の解析、各蛋白の発現遺伝子の定量化をリアルタイムPCR法にて行うための実験用動物、免疫組織化学的・分子生物学的実験に関わる各種抗体などの必要物品、RNA抽出キット、rtPCR用試薬などの試薬の購入のために使用する予定。 また、今回作製されたCx43遺伝子を標的としたコンディショナルノックアウトマウスを使用して、自発てんかんを有する皮質異形成マウスモデルを作製する。生後タモキシフェンの投与でCx43を脱落させることによる自発てんかん発症の有無,発症時期,発作の頻度の変化を解析する。そのための脳波測定のための記録用電極などの部品、タモキシフェンなどの試薬、コンディショナルノックアウトマウス作製などに伴う消耗品の購入に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)